基幹プロジェクト

社会課題を解決するためのコミュニケーション能力の開発
Developing Communicative Competencies for Social Problem Solving

【 研究代表者 】山崎吾郎 COデザインセンター准教授

現代社会をとりまく課題の多くは、さまざまな要素やコンテクストが複合的に絡まり合って生じています。こうした複雑性や不確実性の高い状況では、課題の解決はもとより、その発見・同定のプロセスにおいても、複数の専門性、俯瞰力、そして汎用力が求められます。課題に向き合う現場では、文系・理系といった慣習的な区分はもちろんのこと、異なる社会的立場や専門性を超えて、多様なアクターが互いに協力関係を築いていくことがますます重要になっているといえるでしょう。こうした問題意識のもと、このプロジェクトでは、高度に細分化され複雑化した現代の諸課題を解決に導くためのコミュニケーション能力の開発に取り組みます。その活動を通じて、大学における教育、研究、そして実践を有機的に連関させ、それぞれの成果を循環させる仕組みを創出し、促進したいと考えています。
社会の諸課題は、最終的な解決をみるものばかりではありません。たとえば、「天然痘の根絶」のような意味で、差別や不平等や暴力といった古典的な社会課題が根絶され解決に至ったと考える人がいたとしたら、それは見当違いでしょう。社会という場では、ひとつの課題が別の課題と切り離し難く結びついているものです。それゆえ、課題のとらえ方が一致しなかったり、解決策それ自体が別の課題を新たに作り出したり、ひとつの解決が別の観点からみると全く解決になっていないといったことが、しばしば起こります。
しかしながら、何もしないことがリスクとなるような再帰的な状況では、解決を志向しないという態度が積極的な意味をもつことはありません――ほとんどの場合それは、現状を無批判に追認することにしかなりません。現代の社会構成や学問をとりまくこうした困難な状況に向き合いながら、アクチュアリティと批判性を保持した教育、研究、実践のあり方を模索し、その実現に向けた具体的な方法や仕組みを提示することが、本研究プロジェクトの目的です。
本プロジェクトでは、主として人口減少、共生社会の実現、科学技術が作り出す生活の変化に焦点をあて、それらに付随して生じている個別の課題を、本研究プロジェクトのメンバーがテーマとして取り上げます。年度ごとに、当事者・関係者を含む多様なアクターとの協働を前提としたPBL(Project-Based-Learning)形式のプロジェクトを複数立ち上げ、実施します。こうした活動を通じて、社会課題に向き合う上での高度教養教育の位置づけ、そして人文社会科学的な知のあり方を、「コミュニケーション」という観点から多角的に検討します。活動を通じて得られた知見とその蓄積は、広く実践の現場に還元するとともに、人間の生(生命、生活、生存)に根ざした教育研究体制の構築に向けて活用していきます。

研究キーワード
文化人類学、科学技術社会論、哲学、都市工学、環境経済学、生態学、地域研究、科学教育、等
社会課題
人口減少、共生社会、科学技術コミュニケーション、社会イノベーション