基幹プロジェクト

ステークホルダー・ESG 経営とエシカル消費・サステナブル調達の促進による共感経済の実現
Realization of an empathetic economy through the promotion of stakeholder-ESG management, ethical consumption and sustainable procurement

【 研究代表者 】伊藤 武志 社会ソリューションイニシアティブ教授

現在、多くの企業はすでに、自分の組織だけでなく、仕入先で材料が適切につくられ労働環境が適切であることを確認し管理し始めており、「CSR (企業の社会的責任) 調達」という言葉も、一般的に聞くようになりました。

1987 年に「持続可能な開発(Sustainable Development)」という考え方が提唱されて30 年、これまでに多くの努力と時間の積み重ねがありました。この間、環境・社会・経済という「トリプルボトムライン」という考え方が1994年に提唱され、企業の自主的なCSR の行動が促されました。また投資家もESG(環境、社会、ガバナンス)を重視するようになってきており、それを受けて多くの企業が、統合報告書によるESGの情報開示を通じ、自らの行動と結果をステークホルダーに示し、対話を重ねています。

また消費者に関して、社会にとって良い企業の良い商品・サービスを購入しようという「エシカル(倫理的な)消費」の動きには長い歴史があります。数十年前からの健康への安全性確保や公害防止、環境負荷低減のための消費者運動の盛り上がりや、幅広い製品やサービスの独自比較検討調査である「コンシューマーレポート」の発行、そして開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入する「フェアトレード」の認証や、商品が持続可能性の3つの柱(社会・経済・環境)の強化につながる手法を用いて生産されたとする「レインフォレストアライアンス」の認証などの制度もできました。

現在、消費者は、携帯端末の進化やソーシャルメディアにも助けられ、企業が提供する商品・サービスについて,場合によっては企業と同等な情報を得て,企業が正直な商売をしているのか、良い労働環境で従業員を雇用されているのかすら把握し、購入や利用の適切な判断ができる可能性が高まっています。

一人一人の消費者自身が、良い企業が提供する良いモノを見極めて購入・利用ができれば、企業で正直に働いている人々、そしてまわりまわって自分自身を豊かにすることができます。

かのアダム・スミスが観察したように、多くの人間は、相手の立場に立つ共感能力を備えています。企業が消費者の立場でモノづくりを行い、消費者が企業の行動を知ったうえでモノを買って使うという、互いへの共感を前提にした行動によって、経済的にも人間的にも豊かな市場経済と社会をつくれる時代が来たと言えます。そして、この社会を実現する主体は、社会を想う企業と、社会を想う消費者であると考えます。

このような背景のもと、「ステークホルダー・ESG 経営とエシカル消費・サステナブル調達の促進による共感経済の実現」の取組を行います。その目的は、そのタイトル通り、企業側の「ステークホルダー・ESG経営」の促進と、「エシカル消費・サステナブル調達」の促進を核としています。それには、企業側の行動変容、そして調達・消費側の行動変容の両面が必要であり、これらの促進を進めていきます。

企業側については、ステークホルダー経営、パーパス経営、ESG 経営志向の強い車座の会のメンバーの企業などの良い取り組みを、業界や企業を横断的に広げていきます。主には、①車座の会で生まれたステークホルダー志向の課題を共有し、②エシカル・サステナブル消費・調達、エネルギー、環境、労働等の課題解決を図っていきます。また③上場企業だけでなく中小企業の多くの非上場企業にもステークホルダー・パーパス・ESG 経営志向を広げていくことを考えています。

消費・調達側については、企業の取り組みに共感いただいて、エシカルでサステナブルな行動をおこなっていただくことを促す取組みを進めていきます。主には、①エシカル・サステナブル調達・消費ツールの開発、②オンラインでの企業情報の収集ツールの開発、そして③利用業界・分野・地域の選定と利用促進といったことを計画しています。

研究協力者(学内)
上須 道徳(経済学研究科教授、SSI 兼任教員)
武田 邦宣(法学研究科教授)
堂目 卓生(経済学研究科教授、SSI 長)
宮崎 貴芳(社会ソリューションイニシアティブ特任助教 ほか

研究協力者(学外)
下村 委津子(認定NPO 法人環境市民 副代表)
杦本 育生(認定NPO 法人環境市民 代表)
住田 孝之(住友商事執行役員)
西原 文乃(立教大学准教授)
古谷 由紀子(一般財団法人CSO ネットワーク 代表理事)
眞々部 貴之(trucost of S&P Global、SSI 招へい研究員)
山岡 真理子(Not for Sale Japan 代表) ほか

共同研究機関(自治体等を含む)・連携機関(依頼予定)
消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)
認定NPO 法人 環境市民
㈱リンクコーポレイトコミュニケーションズ
サステナブル・ラボ㈱ ほか

研究キーワード
共感、資本主義、サステナイビリティ、企業評価、トリプルボトムライン、ESG、CSV、CSR、パーパス、ステークホルダー、地域連携
社会課題
エシカル経済、定常的経済、少子高齢化、外部不経済の内部化、ステークホルダー資本主義