マンスリー・トピックス

ジェンダー平等の考え方を、政策やシステムに取り入れ あらゆる分野に浸透させ、女性達が相互につながり、学びあい、 ジェンダー平等に基づいた持続可能な社会の新しいカタチを実現しよう。

株式会社クオリア代表取締役社長・吉田晴乃記念実行委員会副代表
荒金雅子

2024年11月

 2019年に開催されたG20大阪サミットでは、20か国のジェンダー平等に関わる専門家によるW20(ウィメンズ20)が、「ジェンダーギャップの解消を通じた新しい成長のカタチ」をテーマに、労働、金融、デジタル、ガバナンスの4つの柱について提言を行いました。当時、共同代表を務めた経団連初の女性副議長でBT ジャパン社長の故吉田晴乃氏は、G20大阪首脳宣言において明記されたジェンダー平等の実現をめざし、2025年大阪・関西万博をウィメンズEXPO にしようと提唱しました。その吉田氏の遺志を継ぎ、設立されたのが「吉田晴乃記念実行委員会(HYMEC)」です。HYMEC では、あらゆる分野でのジェンダー平等の実現に向けて様々な活動を行っています。
 意思決定層への女性の参画は日本の喫緊の課題です。日本政府や経団連は2030年に女性の役員・管理職比率を30%にすることを目標に掲げ、「203030」の達成に向けて取り組んでいます。この目標達成には、採用、評価、役割付与、育成、
登用、後継者育成、賃金制度など人材パイプラインのあらゆる制度や運用について、性別による不平等がないかを検証するジェンダーレンズによるサーベイを実施し、現状を可視化することが重要です。特に経営層が変化を起こす当事者としての意識と行動変容を促進する働きかけを強化するために、経営層に向けた情報発信を行っています。
 HYMEC では、女性役員をはじめとしたあらゆる意思決定層における女性比率を50%にすることで社会を変えることをめざし、女性のリーダシップ開発やネットワークの構築を目的に、連続セミナー「Road to Board」を毎年実施しています。現在、多くの修了生が役員や上級管理職へと昇進したり海外転勤の機会を得たりするなど活躍しています。彼女たちは世界の新しい経済成長の礎となり、その意志と情熱、行動力は、後に続く女性たちの羅針盤となるでしょう。

 また、女性が経営・主導する企業の創業・成長を加速させ、世界経済をけん引する原動力とするために、女性起業家や女性の経営者を増やす取組みも行っています。女性起業家は世界を6兆ドル豊かにする可能性を持っていると言われています。しかし、女性経営企業への投資はまだまだ少なく、政府や大企業のグローバルサプライチェーンにおいて、女性所有の企業が受注する割合はいまだ1%にも及びません。HYMECは、女性起業家・経営者比率を50%にすることを目指しています。女性が自ら組織を作り雇用を創出し、経済エコシステムを生み出すことで、世界全体が持続可能な経済発展に舵を切り、加速することが求められています。女性起業家や女性経営者への支援は、世界経済の好循環を生むために不可欠です。社会に貢献する意思と行動力を持った女性たちは倫理感と責任感を持って、エシカルな投資と消費をも推進していくでしょう。HYMEC は公共調達や企業のサプライチェーンにおいて、女性やマイノリティと優先的に取引をするサプライヤーダイバーシティに取り組む国際NGO「ウィコネクトインターナショナル」と連携し、情報提供や交流を行っていきます。
 さらに女性の政治参画に目を向けると、日本は世界から大きく立ち遅れています。選挙活動や選挙制度そのものが男性中心であり、根強い性別役割分担意識などが女性の政治参画を阻んでいます。その結果、地方では女性や若者にとって魅力のある地域づくりが進まず、少子化・人口減少に歯止めがかかりません。この状況を変えるには思い切った政策が必要です。くらしやいのちに直結する地方政治において女性議員比率を50%にすることは最重要課題です。HYMEC は、女性と政治の垣根をなくすための情報提供や交流などの支援に力を入れていきます。
 社会や家庭、学校の中には、依然としてアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み・偏見)や性別で役割を固定するような意識が根強く存在しています。これらの言葉や態度が少女たちに影響を与え、自己肯定感を低下させたり無意識に自分の限界を決めてしまったりしています。他方、性別に基づくアンコンシャスバイアスや性別役割分担の固定は、すべての人々に関わる問題でもあり、自分らしい選択肢を狭めるだけではなく自他のいのちを大切にすることができない状況も生みだしています。HYMEC は、未来を担う女性学生(女子学生)の可能性を最大化し、誰もが自分らしく活躍できる社会をつくるため、学生を各種イベントに招待したり学生起業家を支援する活動を行っています。
 これらの実績を踏まえ、HYMEC は日本においてあらゆる分野における女性比率を2050年までに50%とする、「50 by 50」の実現を後押しするインパクトを創出する計画があります。
 いのち会議は、ジェンダー平等の実現が持続可能な新しい世界の成長のカタチに寄与することを確信し、HYMEC のような活動を進める様々な団体の活動と協働してまいります。