マンスリー・トピックス

サンゴ礁が多様な自然を包み込みながら成長するように、 地域と時代を超えてヒトと自然をつなぐサンゴの方舟( 洋上大学)によって、 世界中の独自の自然と文化が尊重され共栄する未来をつくる

総合地球環境学研究所/北海道大学大学院理学研究院/喜界島サンゴ礁科学研究所
渡邊剛

2024年11月

 
 サンゴが個体の発生から群体を形成し、やがてはサンゴ礁という地形を構築していく様は、ヒトが個から集団までの社会的構成を世代を超えて維持、発展する様子と類似しています。サンゴ礁の生態系は生物多様性を確保することによって、これまでの温暖化や寒冷化、海水準の変化などのいくつもの気候変動に適応してきた強靭さを持つと同時に、水温上昇により白化してしまったり、赤土流出などの海洋汚染で埋もれてしまうような、急激な環境変化への敏感さも持っています。
 今、人類は、人為起源の二酸化炭素による地球温暖化などの人間活動が気候変動や自然環境に影響を及ぼし、未来の生活や環境を予想することが困難な時代にいます。様々な時空間スケールで、自然と調和しながら多様な生物や自然を支えてきたサンゴ礁やそこに暮らす人々の知恵や文化から学び活かすことが求められているのではないでしょうか。
 サンゴ礁には、様々な文化や人種、世代を超えた人々が集まり、また、自然科学や人文・社会学などの多様な分野の研究者や実践者たちがフィールドにする学びと創造の場でもあります。喜界島サンゴ礁科学研究所は、100年後に残す、という理念のもとに、奄美群島・喜界島においてサンゴ礁に集う様々な分野の研究者やアーティスト、地域の人たちが三位一体となって協働し次世代を担うリーダーを育成する活動を行ってきました。これまでに多くの地域や国から幅広い世代の若者が集まり、また、都市と地域を行き来しながら、より良い未来の地球やそこに生活する人々の暮らし、あるべき自然の姿について“ 感じる”、“ 見つける”、“ 伝える”、“ 残す”、ことを通じた異文化・多分野のサンゴ礁型地域拠点の形成を行ってきました。
 2030年までには、ヒトと自然が共に関わり合って変動する未来の地球において、豊かな自然を残しながら、自然とヒトとの多様な関係性と新しい可能性を模索しながら、誰もが希望に満ち柔軟で強靭な未来が生み出されていくために、ヒトと自然がつながりあうネットワークを世界中の都市部と地域の間で形成します。そして、2050年までにそれら国境や地域を超えた強い繋がりをもち混ざりあい未来を育んでいくための「サンゴの方舟」(洋上大学)をつくります。それらを通じて、サンゴ礁のように多様な人々が互いに理解しあい、地域ごとの独自の自然と文化をみんなが尊重しあい共栄することにより、ヒトと自然の両方にとってより良い未来をつくりだします。
 いのち会議は、こうした活動を共に推進し、自然と文化が尊重され共栄する未来をつくってまいります。