学生のつどい

第4回SSI学生のつどい開催報告
「阪大SDGs学のススメ。」ランチタイム交流会②

<日時>  2020年12月22日(火)12:10〜13:20
<場所>  オンライン開催
<参加者> 31名
<プログラム>
・堂目卓生SSI長による「阪大SDGs学」への思い
・認定NPO法人環境市民 副代表理事の下村委津子さんによる話題提供
 「環境市民の取組と、ESD」
・人間科学部1回生の山田果凛さんによる話題提供
 「世界中の子どもたちが自由に自分たちの未来を描ける社会の実現」
・会議システムZOOMのブレイクアウトセッションに分かれ、参加者で交流を行った後、全体でどのような意見や感想が出たかを共有しました。

2回目のSDGsのあつまり

12月22日(火)、第2回目の「阪大SDGsのススメ。」が開催されました。学部・研究科も多様な学部生・院生19名の参加がありました。話題提供者は、認定NPO法人環境市民 副代表理事の下村委津子さんと人間科学部1回生の山田果凛さんでした。堂目卓生SSI長など関係者も集まり、総勢31名で交流を行いました。

堂目卓生SSI長による「阪大SDGs学」への思い

堂目卓生SSI長から、SSIの紹介と「阪大SDGs学」にとって何より重要な「誰一人取り残さない」という理念や視点について話していただきました。「誰一人取り残さない」とはどういうことか、2030年、2050年までにどうやって「誰一人取り残さない」社会をつくっていけるか… そうしたことの声をあげて、学びをつくっていくことが「阪大SDGs学」であると述べられました。そして、声をあげて話題提供してくださる方の話を聞いて、聞いた側もまた声をあげていってほしいと、学生にエールが送られました。

話題提供者のお話

認定NPO法人環境市民 副代表理事の下村委津子さんから「環境市民の取組と、ESD」というタイトルでお話しいただきました。温暖化、森林破壊、大気汚染、資源枯渇など、地球上で起きている環境問題に対して、私たちは一人では何もできないと思いがちです。下村さんは、身近なライフスタイルや価値観を変えることでそうした社会課題を解決していけるといいます。その具体的な提案が、環境を大切にした商品を「選択」する、グリーンコンシューマーです。従来のもの選びの基準であった「価格」、「品質」、「安全」に、「環境」を加えることが、経済をグリーンに、商品をエシカルに、そして企業の環境への取組の促進につながるとお話しされました。また、環境市民や「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」の取組として、環境、人権、社会、未来を大切にしたエシカルな商品を選ぶ情報サイト「ぐりちょ(Green&Ethical Choices)」や、企業の環境、倫理、持続可能な社会活動を調査した「企業のエシカル通信簿」などを紹介いただきました。他にも日本の学校で子どもたちが取り組んでいるESD環境学習の様子も報告されました。下村さんのお話からは、買い物を通じて暮らしを変え、社会の主体者になれる、という希望を示していただきました。

人間科学部1回生の山田果凛さんからは、「世界中の子どもたちが自由に自分たちの未来を描ける社会の実現」というタイトルで、今取り組んでいる活動を話していただきました。山田さんは、9歳から15歳までを家族で移住したタイで過ごし、13歳の時に何のために勉強をしているのか、社会のためにできることはないのかと、自分の存在価値を見失った時期があったといいます。その時に訪れたインドで、たくましく観光客相手に物乞いをする少年と出会い、自分の悩みを忘れるほど貧困の子どもたちの社会課題に関心をもちます。そこから、国際ボランティアに出かけ、たくさんの孤児と出会うなかで、18歳の時、ルワンダで仲間を見つけ、単発的なボランティアではなく根本的解決を目指した継続的な活動をすることを決意しました。それが2020年7月にビジネスパートナーと立ち上げた株式会社Familicです。ルワンダの最高級コーヒーを農家から正当な対価で購入し、収益をあらたな農園づくりに投資、将来的に雇用を生み出そうとされています。また、伝統工芸を活かしたフェアトレードアクセサリーブランドの事業も手掛けています。沖縄でTobira Caféを経営して、現地と日本をつなぐ扉でありたいと取り組んでおられます。子どもたちのためにという山田さんの思いと行動力のエネルギーが、オンライン中にみなぎるようなひと時でした。

参加者交流

4つのブレイクアウトセッションに分かれて参加者で交流を行いました。その後、全体で共有を行いました。以下の感想が挙げられました。

・「コロナ禍にあって、善意のボランティアによる商品購入はあまり期待できないなか、ソーシャルビジネスというのは大事な視点だと思った。ビジネスとサスティナブルをいかに両立させていくか、またルワンダの内戦や政治についても議論した。」
・「どのような基準で環境に配慮した商品を選んでいくか…100%の選択でなくても、ベターの選択でもいのでははないかという話をした。価格面で納得しなくても、環境面でいい商品を選ぶ、など。また、教育の重要性という点から、若いうちから情報にふれ、商品を選ぶ力を身につけるのは大事だということを話し合った。」
・「学生のつどいに参加しようと思った動機やSDGsについて話し合った。地方創生、機会格差、共存…など、さまざまな関心で参加していることがわかった。SDGsは、はたしていいのかといったことや、達成が難しいのは利益重視や古いものを守ろうとすることが制約になっているのではないか、といったことを議論した。」
・「人文系と理工系で、SDGsについての見方が違うとわかった。それこそSSIの活動が、理系と文系の枠を超越した活動をしていこうということなので、そこは面白いと思った。」

最後に、参加された教員の方から、「教員も学生も研究を対等にするというのが近代の大学。皆さんとの意見交換の場を盛り上げていきたい。」「SDGsという言葉にとらわれる必要はなく、いろんな取り組みをSDGsの枠組みをつかって発展させていけたらよい」「学生-教員、学内-外、年齢関係なく、垣根を超えて、参加者が声を出し合う場にしていきたい。」と、学生にメッセージが送られました。

2回目を終えて

今回2回目となる学生のつどいは、前回よりも打ち解けた雰囲気があり、参加者交流やその後の全体共有では学生の積極的、主体的な発言が多く出されました。参加者アンケートには、「社会課題をジブンゴトと捉えて実際に行動していくことの大切さを学びました。よい刺激を受けました。」「同じ学生である山田さんのお話、グループでの会話、とても興味深いものでした。こんなにたくさんの学生が課題感をもって、理想の社会を描いていることにワクワクしました。」などの感想をいただきました。前回の感想で出ていたSDGsを自分事にすることの難しさについて、今回のゲストの方の話を聞いてそれぞれにヒントやアイデア、パワーが得られたのではないかと思います。声をあげて話題提供してくださった方の話を聞いて、また声をあげていく… そうした場づくりと学を学生のみなさんとこれからもつくっていきたいと思います。第2回目の参加者のみなさん、話題提供者の方々、ありがとうございました。

(これまでの話題提供者のプレゼンテーションの動画は、こちらからご覧になれます)

(今井貴代子 社会ソリューションイニシアティブ特任助教)