学生のつどい

第3回SSI学生のつどい開催報告
「阪大SDGs学のススメ。」ランチタイム交流会①

<日時>  2020年11月27日(金)12:00〜13:10
<場所>  オンライン開催
<参加者> 27名
<プログラム>
・堂目卓生SSI長による「阪大SDGs学」への思い
・田和正裕グローバルイニシアティブ・センター特任教授による話題提供
 「世界の課題をあなたが解決する」
・上須道徳COデザインセンター特任准教授による話題提供
 「あなたの誠実さと勇気が社会をサスティナブルにする」
・会議システムZOOMのブレイクアウトセッションに分かれ、参加者で交流を行った後、全体でどのような意見や感想が出たかを共有しました。

SDGsをテーマに

2020年度秋から、大阪大学においてSDGsの達成に向けた研究・教育の推進が本格的にスタートしました。教職員のみならず、未来と現在の社会の担い手である学生にとっても、「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」を目指すSDGsは重要な目標です。学生のつどいでは、数回にわたって、SDGsを中心的なテーマに取り上げ、SDGsに取り組むさまざまなゲストの話を聞きながら、参加者同士で考え、語り合います。コロナ禍のなか、当面はオンラインで行います。

11月27日(金)、第1回目の「阪大SDGs学のススメ。」が開催されました。学部・研究科も多様な学部生・院生16名の参加がありました。話題提供者の田和正裕グローバルイニシアティブ・センター特任教授、上須道徳COデザインセンター特任准教授、堂目卓生SSI長など関係者も集まり、総勢27名で交流を行いました。以下、概要を報告します。

堂目卓生SSI長による「阪大SDGs学」への思い

堂目卓生SSI長からは、これから始まる「阪大SDGs学」への思いや学生に向けたメッセージが語られました。SDGs(持続可能な開発目標)にとって重要なのは、「誰一人取り残さない」という理念の大事さを知ることです。さまざまな困難を抱え、取り残されている人たちと向き合い、共感し、一緒に乗り越えていこうとすることが、取り残されている人の命と自分の命を輝かせることにつながるからです。堂目SSI長は、そうしたことに気づき、意識を変え、行動に移していく場こそが学生のつどいであり、そこで積み上げられていく思いや意見、知識が「阪大SDGs学」であると話され、未来の担い手である学生への期待が述べられました。

話題提供者のお話

田和正裕グローバルイニシアティブ・センター特任教授から「世界の課題をあなたが解決する~SDGsの背景から考えるジブンごと」というタイトルでお話しいただきました。国連で2015年9月に採択されたSDGsには、2030年までに持続可能な社会を実現するための目標として17のゴールや169のターゲットが設定されており、幅広い分野の課題があらゆるアクターによって取り組まれています。今回、田和教授が学生に向けてキーワードとして提示したのは、「誰一人取り残さない」「Transforming Our World」「ジブンごと」の3つです。SDGsの前身であるミレニアム開発目標(MDGs)が進展した一方で、「取り残されている人」がいること、それらがどのような状況の人びとであり、どのような課題であるか、それらを進めていくのがSDGsであると話されました。これらに取り組む際に不可欠なのが、私たちの世界/ライフスタイルの変革だといいます。それには技術革新、資金、社会の変革、パートナーシップが重要で、たとえばプラスチックの環境問題に対する昨今の取組(レジ袋やストローなど)を身近な例として紹介されました。最後は、世界の変革の旗手はいつも若者であったことから、SDGsの達成においても世界や身の回りにあるさまざまな課題に関心をもって、学生にジブンごととして考えてみてほしいとエールが送られました。

上須道徳COデザインセンター特任准教授からは、「あなたの誠実さと勇気が社会をサスティナブルにする」というタイトルでお話しいただき、誰一人取り残さない阪大SDGs学をつくっていく第一歩となる問いを提示していただきました。まず、SDGsの背景や経緯のなかで、アカデミアにとって重要なマイルストーンとなったのが、社会、発展、平和のための科学の必要性が宣言された1999年ユネスコ・世界学術会議のブダペスト宣言です。しかし、従来の科学は専門化・細分化が進んでおり、たとえば環境や貧困などの問題に対しては科学の断片化した知識をつないでも全体像が見えてきません。文脈に規定された問題に対しては、多様なアクターによる協働が必要です。上須准教授はこれまでの学際研究の経験を通じて、フィールドには科学とは価値観の異なる世界が広がっていて、そこにこそ解決につながるアイデアが眠っていることや、異なる価値観を認めながら協働していくことの重要性に気づいたと言います。そして、従来の科学のフレーミングを打破するためには誠実さと勇気が必要だと上須准教授は述べられ、参加者の学生に対して、「自分にこびりついた価値観をはがし、そこから打破するには、どんな学びがあるといいか」という問いかけがなされました。

参加者交流

4つのブレイクアウトセッションに分かれて参加者で交流を行いました。その後、全体で共有を行いました。以下の感想が挙げられました。

・「ジブンごとに落とし込んでいくことが難しい。学校教育でも探究学習でSDGsが取り上げられているが、調べて終わりということになりがち。」
・「SDGsについてどこから勉強したらよいかわからない。今回、このような形で学ぶ機会があってよかった。」
・「知識注入型、暗記中心的な学校教育を受けてきたので、SDGsに取り組むための力や学力をどのように身につければいいのか。」
・「世界レベルのSDGsの問題について個人の価値観を変えることも大事だが、経済的な要因や企業の役割も大きいと感じる。」

今回は初めての試みで、ランチタイムをつかっての短い交流でした。参加者アンケートには、「学生の交流の時間をもっと長くしてほしい」「このような機会を継続的に実施してほしい」などの感想をいただきました。SDGsについて勉強を始めたばかりという方々が多く、ブレイクアウトセッションで、学部や研究科の垣根を超えて交流できたことがよかったようです。

こうした参加者の感想や意見、関心をもとに、今後も試行錯誤しながら、学生のつどいを実施し、学生のみなさんと一緒に「阪大SDGs学」をつくりあげていきたいと思っています。第1回目の参加者のみなさん、話題提供者の方々、ありがとうございました。ぜひ2回目以降もご参加ください。

(これまでの話題提供者のプレゼンテーションの動画は、こちらからご覧になれます)

(今井貴代子 社会ソリューションイニシアティブ特任助教)