研究者フォーラム

第1回SSI研究者フォーラム開催報告
「未来社会構想への起点を考える」

<日時>  2020年9月7日(月)16:00〜20:30
<場所>  オンライン開催
<参加者> 42名
<プログラム>
・開会挨拶 堂目卓生/大阪大学SSI長・同大学院経済学研究科教授

・第1部 ”盲点となっている未来社会の可能性”を考える
    ●SSIインタビュープロジェクト概要説明・報告
     西村勇哉/SSI特任准教授
    ●6人の研究者の視点共有+Q&A
     話題提供1 稲場圭信/人間科学研究科教授
     話題提供2 高安啓介/文学研究科教授
     話題提供3 村上正行/全学教育推進機構教育学習支援部教授
     話題提供4 関絵里香/経済学研究科教授
     話題提供5 木多道宏/SSI副長、工学研究科教授
     話題提供6 能木雅也/産業科学研究所教授
    ●ミニ・パネルディスカッション
・第2部 小グループに分かれての参加者同士の交流
・まとめと中締め
・引き続き、オンラインでフリーディスカッション
(司会・モデレーター:川人よし恵 社会ソリューションイニシアティブ企画調整室員/経営企画オフィス講師・西村勇哉)

異分野の研究者が視点を交換する場の立ち上げ

これまで大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)は、SSIサロン、SSI車座の会(企業者のつどい)、SSI学生のつどい、シンポジウムなど、対象や目的に応じた議論の場をつくってきました。SSI研究者フォーラムは、幅広い分野の研究者が集い、視点を交換する場として、2020年に新たに立ち上げたものです。当初は3月に対面実施すべく準備を進めていましたが、コロナ禍の影響により、9月7日にオンラインで第1回フォーラムを開催することとなりました。今回のテーマは、SSIがミッションの一つとして取り組んでいる未来社会構想にちなんで、「未来社会構想への起点を考える」とし、社会が見落としている盲点に思いを馳せ、社会が本来持つ可能性をより豊かに描き出すきっかけの創出を目指しました。当日は、人文社会科学系から自然科学系に渡る13研究科・センター等から、42名の方々が参加してくださいました。

自分の思いを飾らず自由に話せる雰囲気を大事に

フォーラム前半では、宗教社会学、デザイン美学、教育工学、公共財供給、建築・都市計画、材料学・ナノセルロースファイバーをそれぞれ主な専門とする6名の先生方の話題提供を通じて、分野を超えた研究者間の視点の交換を行いました。いずれも、研究者フォーラムに先立ち、2019年の秋頃から西村勇也准教授が中心に進めてきたSSIインタビュープロジェクトにご協力くださった方々で、どのような経験や関心から今のテーマに行き着いたか、現在の/これからの社会をどのように見ているか、異分野交流についてどう考えるか等、飾らない言葉で話してくださいました。後半は、参加者の方々を4名ずつのグループに分けて更に交流を図りました。中締め後のフリーディスカッションにて、各グループで話された内容を共有したところ、例えば、大阪大学における教育をどう変えていくべきか、「真善美」をどのように解釈するか、文系・理系の共同プロジェクトはどこで揉めるか等、非常に多岐にわたるトピックが挙げられました。自分の思っていることを自由に話して良いという雰囲気を、参加者の皆様がフォーラムを通して共に作ってくださったことに感謝しています。

視点の交換がもたらすもの

参加者アンケートには、「登壇者の話題の幅が広くて、いい意味でまとまっていなくて面白かった。」「よくある研究紹介と異なり、とても大きな視点からの話が多く、大変興味深かった。」「文系の人が多くて、カルチャーショックを受けた。」などの声をお寄せいただきました。新たな学際的研究プロジェクトを立ち上げるなど目的的な交流でなく、視点の交換に重点を絞った場づくりを、皆様に楽しんでいただけたようでうれしく思います。他方、交流はこの場で終わったわけでもありません。一例ですが、話題提供者のお一人・産業科学研究所の能木雅也教授のご提案により、同研究所が大学院生を対象に開講する学際融合教育 知のジムナスティック(高度教養プログラム)「産業科学特論」において、SSI教員4名が4回分の授業を担当するなど、異分野にまたがる共同活動が実際に生まれています。栗本英世SSI企画調整室員・元SSI副長は、総括コメントの中で、そもそも我々に未来を予想することは可能なのだろうかという問いかけをした後、今回のフォーラムを「群盲、象を撫でる」に喩えました。個人の想像力の限界を拡大し、未来を構想していくための議論の場として、2回目以降も企画していきたいと思います。

(川人よし恵 社会ソリューションイニシアティブ企画調整室員/経営企画オフィス講師)