- 盲点となりがちな社会の危険性と可能性
大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)では、未来社会の構想を検討する視点を広げるために、13名の大阪大学内の研究者のインタビューを行なってきました。ロイヤル・ダッチ・シェルなどで行われているシナリオプランニングでは、未来を予知・予測するのではなく、現在の日常生活の延長上では見過ごされがちな未来の可能性をその危険性と共に検討します。今回のインタビュープロジェクトは、人文学及び社会科学の研究者を中心に協力を依頼しました。日常生活の感覚では見落としがちな視点を各研究分野の観点も交えながら研究者自身が持つ視点として「見過ごすことで訪れる未来の危険性」への示唆を得ることを目指して取り組んでいます。例えば、バヌアツの呪いを研究する研究者からは「日本社会や科学的思考の偏った重視によって起こる想像力の低下」について、また東欧の音楽学の研究者からは「市場において評価される音楽への収斂が音楽自体の創造性を縮小している可能性」が語られるなど、各研究分野に特徴的な視点・観点が現れ、プロジェクトを通じて収集されてきています。今後は、良い多様な視点・観点を得るための継続的なインタビューの実施と共に、未来社会を検討する際に参考となる視点・観点として取りまとめ、未来を構想する議論の場で用いていくことを進めていきたいと考えています。
(西村勇哉 社会ソリューションイニシアティブ特任准教授)