- 第4回SSI車座の会の概要
2020年7月30日開催、SSI車座の会第4回ミーティングでは、楽天株式会社サステナビリティ部の眞々部貴之氏をお招きしてご講演をいただき、質疑および対話を実施しました。また、堂目卓生SSI長からはSSIの取組みについて、伊藤武志SSI専任教授からは車座の会メンバーからの課題等の取りまとめ資料と今後の車座の会の方向性について報告しました。
眞々部貴之氏からは「『サステナブル社会で一番最初に選ばれる企業になる』楽天:Social Good な企業とその取組み」と題しての講演が行われました。眞々部氏が楽天株式会社(以下、楽天とする)に参加してからの楽天におけるサステナビリティの取組みの経緯を共有いただき、現在楽天で行っているフェアトレード商品のEコマースサイト「EARTH MALL with Rakuten」の取組みや持続的な消費にかかわる様々な分析結果、楽天の取組みに対する資本市場の評価などついて紹介いただきました。
今回の車座の会で、9月23日の第2回SSIシンポジウムのパネリストすべてがいったん報告を行ったこととなり、シンポジウムの準備が整ったことになります。
なお、今回は、オンラインで行うはじめての車座の会となりました。プログラム
第1部 15:00~18:00
・「『サステナブル社会で一番最初に選ばれる企業になる』楽天:Social Good な企業とその取組み」
眞々部貴之 氏(楽天株式会社サステナビリティ部シニアマネージャー)
・「コロナ新時代におけるSSIの取組みと車座の会」
堂目卓生(大阪大学SSI長)、伊藤武志(大阪大学SSI専任教授)
・「より良い市場をつくるために」対話
第2部 懇談の場 18:00~19:00
(於:オンラインzoomミーティング)
- 「EARTH MALL with Rakuten」、さらにインクルーシブなプラットフォームへ
眞々部貴之氏のお話の概要は以下の通りです。
楽天は、基本的には自分たちで売ることはなく、5万店舗を超える店舗の取り扱っている2.7億種類もの商品のプラットフォームとしての役割が強いです。日本の家計消費は300兆円と言われるなか、3兆円以上が楽天のサイト経由で行われており、消費に関して責任が増してきているといえます。そんな中、2018年に作られたのが「EARTH MALL with Rakuten」(以下、EARTH MALL)です。ここでは、サステナビリティに関する国際認証を取得した商品を中心に紹介しています。例えばそのころには、FSC認証の鉛筆を買いたいという欲求を満たすようなお店はオンライン上にもオフライン上にもなく、みんなの手の届くところにあったかというと、必ずしもそうではなかったと思っています。また、検索も困難でした。さらには仮に売り場に商品があったとしても、リアルな売り場ではラベルの意味についてまで説明できません。このサイトでは、オンラインの特徴である、検索できることや説明がたくさんできることをうまく利用して、それぞれの商品についての特徴を細かく説明しています。全ての点で完璧な商品を見つけるのはとても難しいことであり、商品によって注目しているテーマも多様です。それぞれのサステナブルな商品の観点を考えていくと、例えばこの商品はプラスチックを使っていないとか、この商品には児童労働がないというふうに、それぞれのサステナビリティに貢献するような商品の特徴の軸があります。今後は、こういった観点を大切にしながら、説明を丁寧にしていきたいと思います。
ただ、持続可能な生産・消費についてサステナビリティの担当者としてまず考えるべきことは、サプライチェーンの健全化であったり、きちんととしたポリシーをつくって運用すること、それからしっかりコミットメントすることだと考えています。責任・コンプライアンスサイドのことですが、本質的には店舗さんや一時的なステークホルダーだけで5万以上、さらにその先の無限とも思われるサプライチェーンにわたるので、非常に複雑で時間がかかります。これも進めながら、まずは社内の機運をつくることも含めて、インターネットのポジティブな面に着目してこれを大きくしていきました。EARTH MALLはまだメジャーな存在になっておらずこれからなのですが、持続可能な消費・ライフスタイルの主流化を、テクノロジーのポジティブ面を活かしてできるのではないかと思っています。
今、「インクルーシブであること」が大切だと感じています。サプライチェーン前半の、認証で担保される持続可能性に関する価値を考えてきましたが、今後はサプライチェーン後半の買い物をした後、使う過程でのエネルギーや廃棄物、汚染のところも観点として織り込んで、もっとさまざまな観点を紹介し、どういったものがサステナブルな商品なのかということを消費者と一緒に考えていきたい、まさにインクルーシブなプラットフォームをつくっていきたいと思っています。
(島田広之 社会ソリューションイニシアティブ特任研究員)
- 参加
参加企業・組織:16組織19名
株式会社アシックス、伊藤忠商事株式会社、エーザイ株式会社、大阪ガス株式会社、オムロン株式会社、認定NPO法人環境市民、キッコーマン株式会社、京都信用金庫(2名)、グンゼ株式会社、コクヨ株式会社、株式会社島津製作所、住友生命保険相互会社(3名)、大和ハウス工業株式会社、日本たばこ産業株式会社、日本電気株式会社、楽天株式会社(五十音順)運営主体(大阪大学):3名
堂目卓生(SSI長、経済学研究科教授)、伊藤武志(SSI教授)、井上大嗣(SSI特任研究員)