SSIサロン / シンポジウム

第4回SSIサロン開催報告
「科学技術と人間 未来社会に向けた文理融合のあり方」

<日時>  2018年11月1日(木)18時~21時30分
<場所>  大阪大学会館2F SSI豊中ラウンジ
<参加者> 36名
<プログラム>
・開会挨拶 堂目卓生 大阪大学SSI長、同 大学院経済学研究科 教授
・基調報告 「科学・技術の進化と未来社会のデザイン」
      西村勇哉 特定非営利法人ミラツク代表、
           理化学研究所未来戦略室イノベーションデザイナー
・ディスカッション
・ダイアローグ(食事を取りながら)
・閉会挨拶 猪木武徳 大阪大学名誉教授

 

2018年11月1日、大阪大学豊中キャンパスのSSI豊中ラウンジにて、SSIサロンの第4回が開かれました。参加者は、人文学・社会科学系、自然科学系を含む多様な分野の研究者と、金融機関、NPO組織、業界団体、企業の実務者など36名でした。
前半は、特定非営利法人ミラツク代表、理化学研究所未来戦略室イノベーションデザイナーの西村勇哉氏より、「科学・技術の進化と未来社会のデザイン」と題した基調報告がありました。後半の全体ディスカッション、ダイアローグでは、基調報告に刺激をうけて極めて活発な対話が行われ、SSIらしい自由な未来志向の意見交換の場になりました。

将来が不透明な今、「社会的課題」と「科学技術」の文理融合で未来を予測する

西村氏は、理化学研究所未来戦略室の「オープンイノベーション型未来シナリオの策定」プロジェクト(注1)のリーダーとして、科学者のインタビュー調査や文献調査を元に100年後の未来シナリオの策定をオープンイノベーション型で実施されています。基調報告では、この実践の概要を紹介いただきました。特に、オムロンのSINIC理論(注2)を例に挙げて、未来シナリオがテクノロジーと社会的課題の組み合わせという視点でつくられていることが示されました。そして、テクノロジーは自然科学の領分にあり、社会的課題は人文社会科学の領分にあるが、それぞれが組み合わされることで、実際の社会的課題の解決が促進され実現されていくこと、それこそが「文理融合」の意義であると論じられました。

専門家・実務家からの未来志向の思いの共有とこれからの社会づくり

基調報告を受けてなされた活発な意見交換の一部を紹介します。100年後の予測については、ここ最近の技術や社会の変化は激しく、数十年前に現在が予測できたかといえばそれは困難であったことを考えると、難しいのではないかという発言がありました。また、100年後の予測よりも、臨床に活かすことを考えれば、短期・中期に実際に使えるような技術革新と社会的課題に重点をおくのが科学者の誠実さであるという発言もありました。一方で、民間企業の実務家からは、企業の構成員は、直近の1~3年程度の将来しか考えない傾向にある一方で、長期間雇用を支える義務のある企業は、100年はともかく、10年や30年の長期の未来予測を文理融合型で行う必要があるというお話もありました。

そして最後には、共催のサントリー文化財団「堂島サロン」を代表して、猪木武徳名誉教授からは、「専門化が進み、全体を見渡す智恵、全体智が奪われていく時代に、それを取り戻すためのこのような活動が活発化することはとてもよいことだ」とのお言葉もいただき、文理融合により全体智をつくり、社会的課題を解決していく方向性が示されました。サロン終了後も、多くの方が会場にのこり対話をつづけられたのが印象的でした。
西村氏が取り組んでいる「社会的課題」と「科学技術」という文理融合で社会を考えるという視点は、社会全体で、そして社会を構成する一人ひとりが取り組んで行くべき課題であり、また、そのような多くの方々の取り組みがあってこそ、よい未来社会が実現するのではないでしょうか。SSIのミッションは、未来の社会を構想し実現していくことです。今回のサロンに参加した方々のように心ある方々の協力を得ながら、同時にそのような方々の応援に力をいれていきたいと思います。

共催いただいたサントリー文化財団「堂島サロン」について

今回の第4回サロンは、公益財団法人サントリー文化財団の「堂島サロン」としての開催でもありました。同財団は、人文社会科学分野の研究活動や日本の地域文化の向上に貢献し、サントリー学芸賞でも有名です。堂島サロンは、「人文社会科学や大学、学問などについて自由に語り合うサロンのような場があれば」との想い(注)から開催されてきました。堂島サロンからは猪木先生だけでなく、東京大学教授の宇野重規先生にもお越し頂きました。今回のサロンが、想いを同じくする方々や組織とともに活動の輪を広げていく最初の取り組みとなり、SSIとして本当にうれしく思います。最後に、サントリー文化財団の暖かいご支援に厚く御礼申し上げます。