活動レポート

「鹿屋フィールドワーク2021」
報告書が刊行されました

2022/05/23
「鹿屋フィールドワーク2021」報告書が完成しました

SSIでは、社会ソリューションコミュニケーター育成事業(*1)の一環として、鹿屋フィールドワーク(*2)を2021年度から実施しています。PBL(Project-based Learning:問題解決型学習)を通じて、地域の課題解決を行う現場で学生たちが実社会の課題に学ぶ教育活動を展開しています。

「鹿屋フィールドワーク2021」の報告書が刊行されました。(PDFファイルはこちらから)
鹿屋フィールドワークの概要がわかるように、10分程度の紹介動画にまとめました。 (動画はこちらから)

社会ソリューションコミュニケーター育成事業「鹿屋フィールドワーク」担当
大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(今井貴代子特任助教・井上大嗣特任研究員)

PBL協力者
鹿児島県鹿屋市
大阪大学大学院人間科学研究科(稲場圭信人間科学研究科教授・川端亮人間科学研究科教授)

鹿屋フィールドワークとは?

鹿屋市は鹿児島県大隅半島のほぼ中心部に位置し、行政・経済・産業の中核を担う都市です。日本の多くの地域にみられるように、防災、少子高齢化、耕作放棄地や鳥獣被害、地域活性化や日常生活の困りごとなど、さまざまな地域課題があります。本事業では、なかでも地域防災の取り組みに注目しています。地域住民が主体となって、地域住民同士で、災害への備えをし、いざという時に避難行動をとるには、「共助」や平時の地域づくり、つながりづくりが重要になってきます。鹿屋市からは、「PBL学習を通じて学生の柔軟な発想よるアイデアや学生の行動力により、新たな防災の取り組みができるのではないか」「危険地域に住んでいながら逃げなかった人(避難訓練に参加しなかった方々)に理由や問題点を聞き取ってもらうような取り組みはできないか」などの要望や提案がありました。こうした実社会の課題に、「共感力」と「構想力」をもって取り組んでいく社会ソリューションコミュニケーターを育成していきます。

2022年度は、2つの集落への聞き取り調査に取り組みます

鹿屋フィールドワーク2022の募集は締め切られましたが(ここから募集要項を見ることができます)、住民の防災意識(行動)を高めることを目的に、鹿児島県鹿屋市役所の職員と一緒にプロジェクトに取り組みます。災害リスクの高い集落に住んでいる住民に聞き取り調査を行い、現状を把握し、住民の防災意識(行動)を高める取り組みの発案や今後の施策の検討につなげていきます。


(*1)本事業は、文部科学省「実社会に対応するコミュニケーションの推進事業」(2019年~2023年度)として、SSIが「社会ソリューションコミュニケーター育成事業」の一環として実施しています。SSIでは、「命を大切にし、一人一人が輝く社会」を目指し、命を「まもる」、「はぐくむ」、「つなぐ」という視点から、社会の現場の人々と協働して諸課題に取り組む「社会ソリューションコミュニケーター」の育成に取り組んでいます。そこで得られた知のあり方を、基幹プロジェクト「社会課題を解決するためのコミュニケーション能力の開発」(代表 山崎吾郎COデザインセンター教授)の中で、本学のさまざまなPBLプロジェクトと合わせて検討していきます。

(*2)鹿屋でのPBL実施に至るまでの経緯は、6年前に遡ります。2017年度に大阪大学人間科学研究科で「ITを用いた防災・見守り・観光に関する共同研究」(代表 稲場圭信大阪大学大学院人間科学研究科教授)が開始され、2018年度からはSSI基幹プロジェクト「地域資源とITによる減災・見守りシステムの構築」として取り組みが進められ、2019年には共同研究・プロジェクトから社会実装のために「一般社団法人 地域情報共創 センター」が設立されました。独立電源通信システム「たすかんねん」と避難所情報共有システム「災救マップ」の2つが、減災のための社会実装の取り組みです。SSIプロジェクトメンバーと鹿屋市とで、「たすかんねん」と「災救マップ」の導入の協議が行われ、2021年に鹿屋市「災救マップ(避難所マップ)」の運用が開始されました。こうした経緯の中で、PBLへとつながりました。