協力プロジェクト

大学と地域の共創による生物多様性保全
Osaka University and the local community co-create biodiversity conservation

【 研究代表者 】古屋秀隆 理学研究科生物科学専攻 准教授

【 研究代表者 】吉岡聡司 サステイナブルキャンパスオフィス 准教授

大阪大学は千里丘陵に連なる3つのキャンパスを有し、設立以来年月を経て、その自然環境は市街地に残された貴重な緑地となっています。例として豊中地区キャンパスの待兼山周辺には豊中市で希少となった植物や新種の昆虫が生息し、豊中市でも保全配慮地区とされています。このプロジェクトが昨年から開始した調査により、キャンパスには「大阪府レッドリスト2014」で準絶滅危惧種のヒメボタルの生息地があり、中山池には「環境省レッドリスト2015」および「大阪府レッドリスト2014」で準絶滅危惧種のシマヒレヨシノボリも生息していることが確認されました。このように貴重となった自然環境をSDGs の観点からも含めて企業のCSR 活動等にも働きかけることや、各種団体から助成金を得ることで財源を得て保全しつつ、学生、教職員、地域住民と自治体とともに意識する拠点をつくり生物多様性の保全と教育に統合的に取り組みます。あわせて学内で関連の研究に結び付ます。保全のための整備により地域住民と連携した防災、防犯にもつながることや、長期的なエコシステムの確立となることにも鑑みて、大学と社会の共創に基づく社会的課題の解決を達成でき、成果は各方面での環境報告書への活用も期待できます。

2008 年、2009 年に『キャンパスに咲く花』(大阪大学出版会)吹田編と豊中編が出版され、学内の植生などが紹介されました。箕面キャンパスについては調査のみとなりましたが、調査結果は、総合学術博物館に設置されているデータベースに保存されています。低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の実現は、持続可能な社会を目指すために必要な3 本柱であり、この自然共生社会を支える生物多様性保全のための取組みとしては、これまでサステイナブルキャンパスオフィスにより学内の自然保護と生物多様性教育の重要性は意識され、「大阪大学 緑のフレームワークプラン(2018年 改訂)」を策定・運用しつつ、キャンパスは整備されてきました。今後、学内で保護に緊急を要する生物から保全に取り組み、行政、市民、大学が対話する場をつくり、活動財源の獲得、教育と社学共創、研究において生物多様性保全について大学としての取り組みを行っていきたいと考えています。

豊中市では、まとまった緑地の保全が懸案課題になっており、個別計画である豊中市のみどりの基本計画では、明示的に大阪大学(待兼山)に触れ、その保全の必要性を示した上で保全配慮地区に指定されています。この豊中市の課題は、待兼山だけの問題ではなく、キャンパス周辺の緑地についても一体的に、学生教職員が楽しみながら活動するなど、空間を活用しながら保全していく必要があります。サステイナブルキャンパスオフィスが柴原町「タケの会コラボ」と協働して継続してきた「タケの会」の活動は、タケが繁茂する吹田キャンパスでも成果を挙げることが期待できます。

当面の大きな目標は2点あります。
一つは、学生教職員と地域の住民や諸団体が共同し、研究・教育活動を通じて、大学キャンパスや地域の生物多様性の把握に努めることです。
もう一つは、学生教職員と地域の住民や諸団体が、生物多様性を守り育てる活動を楽しみながら行うことによって、仲間を増やしながら、地域社会の持続可能性を向上させる取り組みのネットワークやゆるやかな体制をつくることです。

 

研究協力者

(学内)
池内 祥見 サステイナブルキャンパスオフィス キャンパスデザイン部門 助教
伊藤 武志 社会ソリューションイニシアティブ 教授
大久保 規子 法学研究科 教授
吉岡 聡司 サステイナブルキャンパスオフィス キャンパスデザイン部門 准教授
栗原 佐智子 理学研究科 招へい研究員、大阪大学出版会
古屋 秀隆 理学研究科 生物科学専攻 准教授
鈴木隆仁 理学研究科 招へい研究員、滋賀県立琵琶湖博物館主任学芸員
中島大暁 理学研究科博士後期課程
松本 馨 理学研究科 招へい研究員、大阪府立刀根山高校 教諭

(学外)
木下 修一 名誉教授(生命機能研究科)
倉光 成紀 名誉教授(理学研究科)
升方 久夫 名誉教授(理学研究科)

 

共同研究機関・連携機関

大阪大学 生物研究会
特定非営利活動法人 豊中市アジェンダ21自然部会
大阪府立刀根山高校生物エコ部
池田・人と自然の会
刀根山の森を守り育てる会(通称:刀根森会)
待兼山博物同好会
阪大竹の会コラボ

写真1 ヒメボタル♂(ホタル科):大阪府レッドリストで準絶滅危惧種


写真2 ヒメボタル飛翔発光写真(長時間露光)


写真3 マミズクラゲ(ハナガサクラゲ科):傘の直径約15 mm

 

写真4 シマヒレヨシノボリ♂が右、♀が左(ハゼ科):環境省及び大阪府レッドリストで準絶滅危惧種

 

写真5 シュンラン(ラン科):豊中市レッドリスト要保護B

 

研究キーワード
環境保全、生物多様性、サステナビリティ学,キャンパスサステイナビリティ、大学の地域連携、ランドスケープデザイン、都市計画
社会課題
生物多様性保全、自然共生社会、地域の自然資源・空間資源の保全