協力プロジェクト

カーボンニュートラルに向けた
グリーンイノベーションプロジェクト

 

【 研究代表者 】下田 吉之 工学研究科環境エネルギー工学専攻 教授

【 研究代表者 】新藤 一彦 共創機構 特任教授/2025年日本国際博覧会推進室 副室長

1992年、“地球サミット”がリオデジャネイロで開催され、初めての世界規模での地球温暖化についての議論が行われ、「気候変動枠組条約」(地球温暖化防止条約)が作られました。これは今も続く地球温暖化対策の大きな枠組みと言えます。1997年にはCOP3(地球温暖化防止京都会議)で「京都議定書」が採択、また2015年には世界全体での2020年以降の温暖化対策目標である「パリ協定」が採択され、国際社会は「脱炭素化」を目指すこととなりました。

その一方で、2050年までに「温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることはほぼ不可能」との声もあり、全体としてゼロにする、すなわち中立を目指す「カーボンニュートラル」が推進されているのが現状です。2030年SDGs達成年、ポストSDGsや2050年のカーボンニュートラルといった未来社会を私たちはどのように迎えるのか、エネルギーと地球温暖化について真剣に考える時期に来ています。

地球温暖化関連の情報(取組み、技術、サービスなど)はネット環境に散在していますが、メリット・デメリット双方を同じ記事で紹介していることはほとんどありません。そのため、記事の内容に引っ張られ、自ら現場で観たり、聴いたりすることもなく、その情報が事実か否かも不明で不確実性が高いことが多いのが実情です。

一方、2025 年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)はEXPO for SDGs(グリーン万博)とも言われ、温室効果ガス排出量の制御、資源の有効利用、会場内の自然環境・生態系の保全回復の方向性を打ち出し、エネルギー(未来社会ショーケース)、会場整備、運営、来場者(EXPOグリーンチャレンジ)の観点から対策を講じることになっています。しかし、具体的なことは現時点(2023年9月)では明かにされておらず、順次決定され公開されることになっています。

そこで本プロジェクトでは、大阪・関西万博も含め国内外の地球温暖化関連の情報を、直接的かつ網羅的に調べ、新たな知見・知識を得るだけでなく研究開発テーマの発掘に役立て、更には2050 年カーボンニュートラルに向けた提言(=仮説)をまとめることを目指します。
たとえば、以下の活動を計画しています。

・たとえばエコアイランドの沖縄県宮古島の風力発電、太陽光発電等の設備を見学し、運用している企業や自治体、必要に応じて住民とも意見交換等実態を把握する。

・博覧会協会持続可能性部へのインターンシップにより大阪・関西万博の会場内のCO2 排出量や廃棄物量等を算定する。

・大阪・関西万博の会場内外で講じられるグリーン万博の施策についてパビリオン出展者や実証事業の企業や博覧会協会の方々等に万博会期前からヒアリングする。

活動はこれだけにかぎりませんが、このような活動の成果を取りまとめ、情報発信し、⼤阪・関⻄万博「いのち会議」の提言につなげます。

また、その提言に興味を示してくれる企業・大学等と実証実験や社会実装に向けた取組にも発展させていくと同時に、このプロセスを若者が中心に取組むことにより、2030 年以降も継続して取組むべきことのモデルケースを提示し、最終的に次代を担うリーダーの人財育成にも寄与したいと思います。

図 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
(出典:経済産業省HPより https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

 
研究協力者

(学内)
伊藤武志 社会ソリューションイニシアティブ教授
宮崎貴芳 社会ソリューションイニシアティブ特任助教
高見小枝 2025年日本国際博覧会推進室特任研究員

(学外)
西 和哉 株式会社野村総合研究所

共同研究機関
2025年日本国際博覧会協会(仮)

研究キーワード
地球温暖化、化石燃料代替、原子力、再生可能エネルギー、電気代高騰