マンスリー・トピックス

多様性を尊重することと、「ぼっち」の人を社会に優しく包み込むことは、 あまり相性がよくありません。だからオープンな気持ちで、 みんなでルールを作っていきましょう。

特定非営利活動法人IKUNO・多文化ふらっと
宋悟

2024年11月

 私たちは誰もが、国籍や民族、障害の有無、セクシャリティ、年齢などの違いにかかわらず、より安心して、より自信をもって、より自由に生きることができるよう、多様性が尊重され社会的包摂が推進されている共生社会の中で暮らす権利を有しています。
 しかし、個人と環境の相互作用が生み出す矛盾は常に具体的です。「構造的不利」のもとで生きている人々の中には、差別や貧困、社会的な不安や孤立感を抱えながら暮らしている人々も少なくありません。人権の侵害状況が、日々の地域・生活の中に横たわっています。
 未来に必要とされる新しい価値や社会的仕組みは、同質性からではなく多様性の中から生み出されます。マイノリティの存在は、支援を受けるだけの受動的な存在ではなく、社会の構成員としてマジョリティ社会の安定と発展を担う能動的なアクターでもあります。一方で、多様性を尊重する過程で、双方の「自由の相互承認」をめぐる摩擦や葛藤が必然的に生まれます。
 いま世界は、政治的・社会的な平等と文化的な多様性の構築に向けて、どのように社会的包摂を推進していくのかという切実な難問に直面しています。マイノリティの「安心・自由」への欲求と、既存秩序の浸食を危惧するマジョリティの「不安・不満」との相克です。
 粘り強い対話による課題解決とともに、「支援する側」と「支援される側」が固定化されずに、できる範囲で相互に支えあう重層的な支援関係の構築が不可欠です。様々な国や地域、職種やセクターをまたいで、あらゆるステークホルダーが連携協力して取り組む必要があり、その役割はときには重なり、兼ねられ、置き換えられたりします。
 その経験値と知恵が、共生社会の実現に向けた社会的連帯のための強固で柔軟な土台の形成につながります。いのち会議は、国や国際的な取り組みに加えて、自らが関わる日々の現場や地域社会の小さな実践を丁寧に編み込んでいくことで、地域内循環の仕組みを創ります。
 例えば外国籍住民比率が全国の自治体で最も高い大阪市生野区で活動するNPO 法人IKUNO・多文化ふらっとは、企業と共同事業体を構成して、2022年4月から小学校跡地を活用した多文化共生のまちづくりに着手しています。特に日本語指導が必要な外国ルーツの子どもたちが参加する学習支援活動や、子ども食堂を実施するなど、差別と貧困、社会的孤立の中にあるマイノリティの子どもたちのエンパワメントのための居場所と機会を提供しています。
 こうした活動をさらに発展させるために、今後は以下の取組を推進していきます。

❶国籍や民族、障害の有無、セクシャリティ、年齢などの違いを相互に認め合い尊重しながら、さまざまな背景・階層の人々が出会い交流できる場をたくさん創出します。
 さまざまな違いをめぐる不平等により、社会の分断や葛藤が進んでいます。多様性の尊重や社会的包摂の推進に向けた意識や社会的雰囲気の醸成のためには、地域社会において異なる背景・階層の人々が交ざり合う、たくさんの公の場が不可欠です。こうした場は、他者に対する不安を軽減し、相互理解と信頼感の醸成につながるきっかけとなるからです。

❷各セクターの政策・施策等の議論・決定過程にマイノリティ当事者が参画する社会的仕組みを構築します。
 政策・施策等が適用される当事者であるマイノリティが、その議論・決定過程に平等かつ主体的に参画することで、より社会的な公正さが保障され、また民主主義の原理に適います。

❸多様性の尊重と社会的包摂の推進のための法制度を拡充するとともに、各セクターが連携協力しながら当該行動計画を策定・実施します。
 多様性を尊重する意識・世論の醸成に加えて、国際人権基準に基づく教育・福祉・就労等を保障する法制度の整備と、それに基づく行動計画の策定と実施が必須です。

❹多様性の尊重と社会的包摂を推進する政策・施策の実施・展開のための財源を、各セクターが連携協力しながら創出します。
 特に財政基盤が弱く、かつマイノリティに対して直接支援をしている市民セクターへの財政的支援の社会的仕組みをさらに拡充します。

 いのち会議は、こうした活動を推進することによって、「みんながオープンな気持ちでルールをつくる場」を広めていきたいと考えます。学習サポート教室DO-YAの様子