学生のつどい

第8回SSI学生のつどい開催報告
「阪大SDGs学のススメ。」オンラインランチタイム交流会⑤

<日時>  2021年11月12日(金)12:10〜13:20
<場所>  オンライン
<参加者> 21名
<プログラム>
・堂目卓生SSI長による「阪大SDGs学」への思い
・岡部美香人間科学研究科教授による話題提供
「子どもたちと探究する<いのち>と<世界>」
・人間科学部4回生 増田叶夢さんの発表 
「半径2メートルから世界とつながるー中学生とSDGsの出会いの場としての探究」
・人間科学研究科研究生 前田葵さんの発表 
「これまでの感想 ジュニア万博について」
・発表者と参加者による意見交換・感想の共有

教育現場で活動している学生の発表!

11月12日(金)、「阪大SDGsのススメ。」ランチタイム交流会が開催されました。学部・研究科も多様な学部生・院生14名の参加がありました。岡部美香人間科学研究科教授による話題提供と、教育現場で活動をしている増田叶夢さんと前田葵さんによる活動報告がありました。堂目卓生SSI長など関係者も集まり、総勢21名で交流を行いました。

話題提供者のお話

岡部美香人間科学研究科教授からは、「子どもたちと探究する<いのち>と<世界>」というテーマで話題提供いただきました。岡部教授は教育哲学や教育思想史を専門とされています。教育をめぐる制度や実践を一人ひとり意味あるものにするためには、実際に何が行われているかを知ること、実践の場とのかかわりが大事だと述べられました。また、OECDの報告を用いてSDGsに取り組むにあたって大事な公正(equity)やインクルージョン(inclusion)の考え方、ケイパビリティ(capability)やウェルビーイング(well-being)の視点を紹介していただきました。現在、岡部教授は大阪府教育委員会やSSIとともに「ジュニアEXPO」の活動に取り組まれています。「ジュニアEXPO」は子どもたちがSDGsについて学ぶプログラムです。小・中学校、高校の授業で、生徒たちとSDGsの大事なテーマの一つである「自分ごと」にすること、自分の言葉で語ることの大事さを追究されています。このようなお話から、実際に中学校に教えに行っている学生2人の報告へと移りました。

学生の発表:中学生とSDGsを探究する

人間科学部4回生の増田叶夢さんからは、「半径2メートルから世界とつながるー中学生とSDGsの出会いの場としての探究」というテーマで発表していただきました。増田さんは、「本当にSDGsに価値はあるのか?」「自分とSDGsがどのようにつながるのか?」「中学校の授業でSDGsに取り組む意味は?」といった疑問や問いを持ちながら、現場にかかわり始めたといいます。SDGsとのつながりを見つけるのが難しい生徒たちと日々かかわるうちに、何気ないつぶやきやサインに気づき、話を聞いてみたところ、生徒たちからは考えていることがどんどん言葉になって出てきたといいます。そこから、増田さんは、生徒自身が具体的な世界の中で見ていることから始めること、「半径2メートルから世界とつながる」ことの大事さに気づいたと話されました。


人間科学研究科研究生の前田葵さんからは、「これまでの感想 ジュニア万博について」というテーマで発表していただきました。前田さんが重視したのは、「誰かの問題ではなく、自分にも関わる問題である!ということに気づいてもらう」「ロールモデルをこの活動を通じて見つけてほしい」「私にできること!を実現させてあげたい!」ということでした。しかし、実際に活動を始めると、生徒へのかかわりに戸惑いを覚えたり、驚きがあったり、正解のないことに取り組むことの難しさを感じたといいます。授業は大学生だけでなく、企業など多様な人びとがかかわっていて、控え室では大人たちがサポートのあり方を相談しあうそうです。このことから、大人が学び合うプログラムになっているのではないか、と締めくくられました。


意見交換・感想共有

報告を聞いた後、参加者との間で熱心な意見交流が行われました。報告者の2人が、質問を受けて、また違う視点からふだんの活動を捉え直し、ことばをゆっくり紡ぎながら応えている姿がとても印象的でした。終了後の参加者アンケートには、「現場に入り、実際に子どもたちがどんなことを考えているのかを知りながら、アプローチの方法の工夫を重ねて、現場と社会課題と向き合っている素敵な活動を知り、とても刺激を受けました。」「SDGsを押し付けるのではなく、対話を通してこどもたちの意見や考えを引き出していることにすごく意味があるのかなと思います。」など感想が寄せられました。
 話題提供くださった岡部先生、報告くださった増田さん、前田さん、ありがとうございました!中学校や高校の現場で、生徒たちとSDGsを探究することに関心のある学生の方がいらっしゃれば、ぜひ活動にかかわっていただければと思います。

(今井貴代子 社会ソリューションイニシアティブ特任助教)