学生のつどい

第17回SSI学生のつどい開催報告
シリーズ「キャンパス・サステナビリティ」①
2023年10月19日(2023年度SSI学生のつどい~キャンパス・サステナビリティ~)
 

<日時>  2023年10月19日(木)18:30~20:00
<場所>  オンライン・対面(SSI豊中ラウンジ)
<参加者> 14名
<プログラム>
・堂目卓生SSI教授の挨拶「『いのち』を自分ごとに-SSIの理念と実践」
・上須道徳経済学研究科教授による話題提供「2023年度SSI学生のつどい~キャンパス・サステナビリティ~」
・参加者でディスカッション

第17回学生のつどい キャンパス・サステナビリティ①

シリーズ「キャンパス・サステナビリティ」第1回目(第17回SSI学生のつどい)では、堂目卓生SSI長からSSIの理念と活動の紹介をしていただいた後、上須道徳経済学研究科教授から2023年の「キャンパス・サステナビリティ」というテーマにかかわる話題提供をいただき、対面・オンライン合わせて14名による活発な意見交換が行われました。

堂目卓生SSI長による挨拶「『いのち』を自分ごとに-SSIの理念と実践」

冒頭、堂目SSI長から「『いのち』を自分ごとに-SSIの理念と実践」と題する挨拶がありました。近代社会は「Vulnerable(弱者)」な人々が「Capable(有能)」な人々に一方的に合わせるという包摂のあり方を基本としてきました。それに対して堂目SSI長は、「Vulnerable」人は「capable」な人から一方的に与えられるだけだろうか?と問いかけられ、「Capable」な人々と「Vulnerable」な人々の共助しあえる未来社会像を模索していくビジョンが示されました。こうしたSSIの理念と実践は、大阪・関西万博に向けて取り組む「いのち宣言」「いのち会議」と重なり、若者である大学生に対して学生のつどいでもこうしたアクションに自分ごととして取り組んでいってほしいと述べられました。

上須道徳経済学研究科教授からの話題提供「2023年度SSI学生のつどい~キャンパス・サステナビリティ~」

上須教授からは、これまでの学生のつどいでの継続的な学びとそこで重視されてきた視点が紹介され、2023年度のテーマである「キャンパス・サステナビリティ」の意義や世界的潮流について述べられました。

学生のつどいの議論でも社会の課題を自分ごとにすることがいかに難しいか、またどのようにすれば自分ごとになるのかが重要なポイントに挙げられてきました。上須教授は、何が課題か?を考えること、知ることと行動すること、仲間をつくること、対話を重ねること――こうした営みを通じて「自分ごとにする」ことがより可能になると言います。リニアなライフコースを前提とするこれまでの社会とは違って、現在や未来はより学びと仕事が同時並行に進み、どこで働くかどこに住むかはライフステージに合わせて変化していく社会です。多様性のある社会、包摂的な社会が求められる中、研究・教育においてもサステナビリティ教育の重要性が高まっていると上須教授は述べられました。

上須教授によれば、キャンパス・サステナビリティは、ガバナンス、運営、学習、研究、コミュニティといった⼤学のあらゆる側⾯に持続可能性を組み込むものであり、⼈と場所の健康に貢献する場、レジリエンスがありエンパワメントの促しがある、他者を思いやる熱⼼な学⽣・スタッフ・教職員を育成する環境のことだと言います。大阪大学のキャンパス状況をまとめた『大阪大学Profile2023』をもとにさまざまな情報が示されました。こうしたキャンパスのサステナビリティの管理や推進を担当する部署であるサステナブルキャンパスオフィス、ダイバーシティ&インクルージョンセンター、また全学的なSDGsへの取り組みなどが紹介されました。国外にも目を向けてコーネル大学の事例を紹介された後、世界的潮流として5点挙げられ、サステナビリティの活動が組織化されていること、学生や教職員などのエンパワメントが重視されていること、地域との連携や地域への還元が大きな位置を占めていること、活動の進捗が可視化されるようになっていること、重要なのはそのプロセスであるという認識があること、などが共有されました。

ディスカッション

この後グループに分かれ、大阪大学キャンパスや周辺地域で気になるところ、好きなところ、やってみたいことなどを、大学の仕組みやカリキュラム、地域との連携などさまざまな観点からディスカッションしました。海外留学中に経験したリユースの取り組みから、大学内に不要になった生活用品や衣服などを保管し、学生同士が自由に持ち帰りできるような場所があったり、フリーマーケットなどが開催されるとよいのではないかといった提案が出たり、逆にこうした取り組みは既に留学生に向けに見られるため、いい取り組みや有益な情報がもっと拡散するにはどうしたらよいかといった意見も出ました。またサステナビリティに関心のある学生は一部に限られるため、関心の輪、つまり自分ごと化を広げていくことが課題提起として挙げられられました。

課題や現状、それに取り組む活動においても可視化はキーワードの一つだと言えます。次回から、有志学生によるキャンパス・サステナビリティに関する話題提供が始まります。学生のつどいの中でまずは知ることや対話をすることを通じて、キャンパス・サステナビリティの自分ごと化や可視化に取り組んでいきたいと思います。

(今井貴代子 社会ソリューションイニシアティブ特任助教)