2024年12月10日(火)、SSI基幹プロジェクト「大学と地域の共創による生物多様性保全」キックオフシンポジウム」を大阪大学会館にて開催しました。本イベントは、プロジェクトに関わるメンバーの取り組みや今後の展望を大学内外の多くの方々と共有するためのキックオフイベントとして開催いたしました。シンポジウムの様子を報告いたします。
開会挨拶 堂目 卓生(大阪大学SSI長・経済学研究科)
堂目先生からは、SSIの活動とプロジェクトについてのお話がありました。2018年設立以来、SSIは「いのち」をテーマに、研究者や市民らと対話し社会課題の解決に取り組むネットワークを構築しています。その中で、自然の声や生物たちがどんな声をあげているのかを考え、「いのち」という視点に立って生物多様性を考え、プロジェクト進めていきたいとお話しされました。
ピッチプレゼンテーション 古屋 秀隆(大阪大学大学院理学研究科)
古屋先生からは、大学と地域が協働して生物多様性を保全するプロジェクトについて説明いただきました。このプロジェクトは、豊中キャンパスの自然環境を教育・研究・社会貢献に活用することを目的とし、学生への自然体験教育、カメラや音声データによる生物調査、地域住民との連携による持続可能な保全活動を進めています。大阪大学の授業「学問の扉」では、学生に自然の大切さを伝え、未来社会への意識を育む授業を実施し、文明が自然を損なうリスクを指摘し、自然と共生する社会の重要性を強調しています。今後も、大学の特性を活かし、地域と協力して活動を継続していきたいとのことです。
ピッチプレゼンテーション 池内 祥見(大阪大学サステイナブルキャンパスオフィス)
池内先生からは、大阪大学のキャンパスのサステイナビリティ活動について紹介いただきました。大阪大学のキャンパスは多くの緑地を含んでおり、地域住民との協力による活動が進んでいます。特に、竹林整備やたけのこ収穫イベントを地域と共に行い、地域貢献を行なっています。また、キャンパスデザイン部門では「緑のフレームワークプラン」を策定し、緑地の維持と活用を推進しています。最後に、キャンパスを「リビングラボラトリー」として、実証実験を通じて社会への還元を目指す考え方を提案されました。
ピッチプレゼンテーション 松本 馨(大阪府立刀根山高等学校)
松本先生からは、豊中キャンパス周辺での生物多様性保全活動について紹介いただきました。特に、絶滅危惧種であるキンランの群落を紹介し、その保護の重要性を強調しました。刀根山高校では、生物多様性保全の取り組みが進んでおり、地域との連携が重要であると述べられました。また、ヒメボタルの生息地を調査した結果、キャンパス内には貴重な自然が残っており、その保護と研究が進められています。今後はキャンパス内の自然を学問や地域活動と結びつけ、地域の環境保全活動と連携を強化していきたいとのことです。
ピッチプレゼンテーション 中島 大暁 (大阪大学スチューデントライフサイクルサポートセンター)
中島先生の発表では、生物多様性の保全に向けた観察活動が紹介されました。元々海洋生物に興味を持っていた中島先生は、研究の合間に自然豊かな待兼山での観察を始めました。そこで、哺乳類や鳥類を中心に多くの生物を発見し、発表ではその一部を紹介されました。特に待兼山では、タヌキやイタチ、キツネなどの哺乳類に加え、70種以上の鳥を観察されています。さらに、植物では、豊中市内で希少なシュンランやアキノキリンソウなどの植物が確認されています。こうした観察を通じて、生物多様性の把握と保全に必要な地道な調査の重要性が強調されました。
ピッチプレゼンテーション 芳賀 智宏 (大阪大学大学院工学研究科)
芳賀先生からは、自然の声を聞く技術について話されました。普段は生態学や保全に関する研究をしている芳賀先生ですが、エンジニアとして、自然の将来を考える道具作りにも取り組んでいます。特に、音を使って生物を観察する方法に焦点を当て、録音技術を使って自然音をモニタリングする試みが紹介されました。豊中キャンパスや吹田キャンパスで録音機を設置し、生物の声を分析しています。この技術は、AIを使って鳥の鳴き声などを識別することにも使われており、自然保護活動に貢献する可能性があります。しかし、学生たちにこれらの技術をどのように伝えるかという課題があり、研究が進む中で新たな挑戦が続いています。
ピッチプレゼンテーション 大谷 洋介(大阪大学COデザインセンター)
大谷先生からは、大学のキャンパス内で確認された哺乳類について紹介いただきました。大谷先生は、主に自動撮影カメラを使ってキャンパス内の動物の調査を行っています。調査の結果、タヌキ、アナグマ、イノシシ、サルなどさまざまな動物が確認されており、特に吹田キャンパスではアナグマ、豊中キャンパスではタヌキが多いとがわかっています。また、絶滅危惧種であるキツネや、地域的に希少なテンが確認されたことが新しくわかりました。さらに、アライグマの増加が問題で、キャンパス内でも繁殖が確認されたため、対策が必要であると述べられています。
ピッチプレゼンテーション 鈴木 隆仁 (滋賀県立琵琶湖博物館)
鈴木先生からはキャンパス内の池の生物調査について紹介いただきました。鈴木先生は、待兼池、乳母谷池、中山池という3つの池を調査しており、それぞれ異なる環境や生物が確認されています。待兼池は以前、透明感のある水でプランクトンが豊富でしたが、現在は濁っており、マミズクラゲの減少が懸念されています。乳母谷池では小型のワームなどの動物が確認されており、現在も生態系調査が進んでいます。中山池はミドロの減少が見られ、水質の悪化が懸念されています。調査を通じて、これらの池の環境変化や生物の動向を観察し、今後も継続的な調査が重要だと述べています。
ピッチプレゼンテーション 大久保 規子(大阪大学大学院法学研究科)
大久保先生の動画はありませんが、プロジェクトの課題と展望についてお話しいただきました。
活動レポート
【開催報告】「SSI基幹プロジェクト「大学と地域の共創による生物多様性保全」キックオフシンポジウム」
2026/06/02
