AI技術が発展し、生活のあらゆる場面に浸透する中で、「どこまでAIに任せてよいか」「AIに判断させるとどんな影響があるのか」といった問いを、市民・学生・研究者が立場を超えて語り合う場をつくることを目的に、2024年度より本プロジェクトは発足しました。哲学対話という、専門知識の有無にかかわらず参加できる対話の形式を採用することで、急激に変化する社会における人間とAIのあり方を多様な視点から共に考える取り組みを進めています。

【2025年度の活動成果】
昨年度の成果を踏まえ、2025年度は哲学カフェの対象や開催形式をさらに広げる取り組みを行いました。具体的には、これまでは主に大学内を中心に実施してきましたが、今年度はカフェやバー、さらには高齢者施設にまで活動範囲を拡大し、子どもから高齢者まで世代を超えた方々と対話を行いました。そこでの対話では、「判断をAIに委ねることは他人に委ねることと何が違うのか」「そもそも重要な決定を他者に委ねてよいのか」といった、日頃AIに触れている人々とは異なる視点や悩みが多く寄せられ、これまでにない発見が得られました。こうした多様な意見を整理し、2025年の大阪・関西万博にて展示および発表を行ったところ、多くの来場者から「AIを専門家だけに任せない対話の重要性」が高く評価されました。今後も得られた知見を社会に広く還元し、AIと人間の関係性について市民と共に考える場を継続的に提供していきたいと考えています。
【メンバー(順不同)】
KANG KIWON(人間科学研究科・代表)、名取 大雅(基礎工学研究科)、岸 哲生(人間科学研究科)、曹 思敏(人間科学研究科)、加藤 沙耶奈(人間科学研究科)、岡崎 もも花(人間科学部)、石田 和毅(理学部)、瀬戸ひろえ(卒業生)

【プロジェクトの意義】
本研究は2つの社会的意義を有する。
1つ目は、市民がAIと人間の意思決定プロセスの関係についての考えを持つために、社会が市民に提供すべきサイエンスコミュニケーションのあり方が見出されることにある。これは、AIに関する倫理原則や利用規約の整備を進める行政にとって、新しく重要な知見となることが考えられる。
2つ目は、AIの開発者側が市民の視点から適切なAIの開発・利用の方法を検討できることである。
これは,AIを用いたサービスの開発を行う研究機関や企業がより良いサービスの提供のために必要とする知見であると考えられる。
- キーワード
- AI, 意思決定プロセス
- 社会課題
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