車座の会

SSI車座の会
「いのち会議市民部門 アクションパネル4(経済)キックオフ」開催報告
2023年7月18日

SSI車座の会報告

7月18日(火)、車座の会「いのち会議市民部門 アクションパネル4(経済)キックオフ」を大阪大学中之島センター「いのち共感ひろば」とオンラインのハイブリッドで開催しました。SSI長の堂目卓生教授や話題提供者の方々含め会場には30名、オンラインには58名が集まりました。以下に、概要を報告します。

堂目 卓生 いのち会議市民部門長 「いのち輝く社会に向かってソーシャル・ムーブメントを」

✔いのち会議の理念・概要・目的について:ソーシャル・ムーブメントへ「成る」か「成らない」かではなく、「為す」か「為さないか」

平瀬 錬司 サステナブル・ラボ株式会社 「すべての経済活動をSX化する」

✔サステナビリティに関わるベンチャー企業での活動紹介:堂目理念とベンチャー企業の共通性(Capable(大企業)とVulnerable(Start-Up))
✔すべての経済活動をSX化(Sustainable Transformation)する:得か損かの判断基準からSustainableかどうかの判断基準へ(経世済民の原点回帰)
✔最大の壁であるサステナ情報の流通をスムーズに:オープンandクローズド(特に中小企業はまだまだクローズド)な企業情報公開の容易化ツール開発(TERRAST(サステナ情報板弥生会計)、現状は金融機関・上場企業向け)
✔サステナビリティ情報の開示促進のためのデータ標準化:サステナ情報公開のための社会的コストの軽減により中堅・中小企業のサステナ情報公開促進
→ベンチャー企業が始めた取組に省庁や金融機関が賛同、国際標準化も意識
⇒1人・1企業・1官庁ではなく、「遠くにいくにはみんなでやる」

下村 委津子 認定NPO法人環境市民「企業のエシカル通信簿 私たちは、なぜ通信簿をつくるのか 目的と活用法」

✔持続不可能な地球環境からの転換としてのSDGs:持続可能な生産と消費のための「エシカル消費」(脱炭素などSDGs諸課題の解決につながる消費)
✔値段やデザインなど既存の物差し+環境、公正・倫理などの物差し
→消費活動を変えるための鍵は関連情報の流通(特に関連商品・売場情報)
*情報とコミュニケーションをベースにエシカル消費・生産の正のサイクルへ
✔先進国での情報インフラ整備(HP・アプリ)でメーカーと消費者のやりとり
→消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク結成、エシカル通信簿へ
✔各種NPO・企業と連携してサステナビリティ情報を整備
→少しずつ参加企業・業界を拡大、企業の回答も増えてきた(2022年度は10社中10社)、今後は中小企業へも拡大できれば

田岡 秀朋 一般社団法人ソーシャル 事業者認証機構おおさか「大阪版ソーシャル事業者認証に向けて」

✔「行政の福祉化」から:政策(事業入札)の中に自立支援をどう組み込むか
*障害者・高齢者雇用の促進(総合評価一般競争入札制度など)
✔「大阪の福祉化」へ:ビルメンテナンスなど限定した活動から活躍の場・プレーヤー・働く分野の拡大へ(調査・研修の実行)
✔特に社会福祉法人における調達状況の調査、他自治体の取組の参照
→認証基準・システムが課題であり、ソーシャル事業者認定機構の立ち上げ
*京都の先進取組を参照。信用金庫・組合の取り込みが現代の課題。
⇒大阪の福祉化によるOsaka SDGsビジョン実現へ。金融機関とも連携して地域・社会課題の解決を模索(担い手支援)

古谷 由紀子 一般財団法人CSOネットワーク「持続可能な調達と政府、企業、消費者の役割」

✔法・倫理・環境・人権などの持続可能な消費の土台となる企業・政府の持続可能な調
✔企業:調達方針の策定、ガイドライン策定や監査・モニタリング・情報開示
✔政府:責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン策定(2022年9月)
✔消費者:エシカル消費の推進により企業・政府の活動を評価・批判←消費者教育推進法(2012年)
→CSOネットワーク「持続可能な公共調達推進に関する提言(第一次・二次)」

眞々部 貴之 SSI招聘研究員「商品の持続可能性について」

✔持続可能な消費に向けて「どのような商品をピックアップするか」
←Earth Mall with Rakuten:楽天市場の中から持続可能性の高い商品をPU
✔持続可能性の概念・評価対象の広さや客観的情報の欠如などの課題
✔→商品タイプ(まずはアパレル・コスメ・食品)別に評価項目を設定し、インパクトスコアと関連情報のタグを合わせた商品情報を提示するための手法の開発
✔客観的な情報(原産地や原材料など)からESG情報の抽出(例えば輸送距離や原産地の人権情報など)し定量評価と定性評価を行いスコア化
*トップダウン(楽天市場からAPIで取得)とボトムアップ(人海戦術・現在検討中)
⇒サステナビリティが判断基準になっていない理由の仮説:情報の欠如、情報のわかりにくさ(スコア化?属性情報?など模索中)、気にするシーンの欠如(個人の消費の中で気にする状況を考える、ギフトや消耗品など)

住田 敬之 住友商事株式会社 常務執行役員 一般社団法人ダブリューアイシーアイジャパン常任理事 「サステナブルな社会のデザイン」

✔万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」:「人」ではなく「いのち」、未来からのバックキャスト・デザイン思考、生態系のイノベーション
*具体的な課題解決ではなくて社会全体を変えてしまおうという意識
✔日本が主導してきた仕組み:WICI・IIRCによる統合報告の枠組みつくりの根っこにある経産省の知的資産経営の開示ガイドライン(2005)
*項目の開示・評価(欧州)<個性・価値創造のストーリー(強み・貢献部分の明確化)
✔サステナビリティの実現:人口急増が根幹⇔急速な人口減少が現実的ではない中で、で生態系への負荷を減らすための活動(サーキュラー・エコノミー、ソサエティ)

伊藤 武志 大阪大学SSI教授 「共感経済によりいのち輝く社会を支えていく~ 企業のESG向上」

✔本日の報告でも紹介された情報を利用した企業データベースの整備
→消費・投資・就職などに際した情報へのアクセス環境は整ってきている
✔生産者・消費者双方のレベルをもっと上げ、本当に成長できる社会への変革を

いのち共感ひろば フロアから

✔質疑応答
Q:堂目挨拶の理念から個々の活動報告の間がどう繋がるのか?
A:個々に別々の活動をしていても、一歩ずつ同じような意識のもとで船底を塞ぎにいくために情報交換を行うキックオフの場。
Q:今後更にどうすすめるのか。それぞれが自分たちの場で解決作を出せている中で、どうまとめて、どこを目指して船頭を取っていくのかということに凄く期待している。大阪から発信する(かつての万博のような形に。具体的には財団化による責任明確化という提案も)
A:イニシアティブをまとめて取ることよりも、一人一人の行動がジワジワ変わっていくようにネットワークを拡充する(伊藤) 議論を積み上げ記録をしっかり残していくことで、変革の瞬間へと繋がっていく土台を作る(堂目)

✔学生の声(学生団体Flagship、高校生向け探求学習など教育事業):漠然としていた「いのち」とは何かが見えてきて、自分たちの活動を積み重ねていくことの重要性を感じた。自分の事として捉えていくこと、様々な分野で同じような活動を行っている人たちがいることを可視化し、情報発信していくことの重要性を感じた。

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