<日時> 2024年3月7日(木) 16:00~18:00
<場所> 大阪大学 中之島センター5階「いのち共感ひろば」および オンライン
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<プログラム>
・挨拶
堂目卓生 大阪大学SSI長
「すべてのいのち輝く未来社会実現のために」・話題提供
天目石 慎二郎(JICA緒方貞子平和研究所上席研究員)
「食料安全保障と食料システム(アフリカを中心に)」
川端 忠則(兵庫県農林水産部総合農政課副課長)
「農林水産分野におけるSDGs達成に向けた兵庫県の取組について」
宮﨑 咲弥(株式会社 坂の途中)
「100年先もつづく、農業を」
大沢 映介(Re.colab KOBE代表)
「Re.colab KOBE~未来への挑戦、学生がつくる変革~」・質疑応答
ディスカッション※タイトル等をクリックすると動画をご覧いただけます。
開催報告
3月7日(木)、いのち会議 アクションパネル 【食・農業】「食料と農業における課題と国内外の取り組み、そして我々が取り組めること」を大阪大学中之島センター「いのち共感ひろば」とオンラインのハイブリッドで開催しました。話題提供者の方々含め会場には11名、オンラインには24名が集まりました。以下に、概要を報告します。
堂目卓生 大阪大学SSI長 「すべてのいのち輝く未来社会実現のために」
✔いのち会議・宣言の概要説明。「Capable」と「Vulnerable」の共助社会像の提示
天目石 慎二郎(JICA緒方貞子平和研究所上席研究員)「食料安全保障と食料システム(アフリカを中心に)」
✔ サブサハラアフリカの農業:農業セクターの重要性(GDP17%, 労働人口51.6%)
✔ 順調に減少してきた飢餓人口がCOVID-19以降に急増:特に穀物輸入の停滞
✔ 人口増予想に対して食料生産量の伸びが低く、持続可能な食料・農業システムへの転換が必要←生産量は増えているが穀物の輸入依存度の高さや安全保障リスク
✔ 食料システム(Food System):生産から流通・消費まで全ての要素・活動を包含
⇒急激な人口増加、気候変動の不安定性、政治不安等の複合的なリスクを前に、経済・社会・環境の総合的視点(SDGs)から持続可能な食料システム確立が必要川端 忠則(兵庫県農林水産部総合農政課副課長)「農林水産分野におけるSDGs達成に向けた兵庫県の取組について」
✔ ひょうご農林水産ビジョン:SDGsとも親和性のある食と農に関わる総合指針
→生物多様性保全、多様な人材確保・分野連携、地域資源循環、燃料削減等
✔ 現状・課題:人材獲得競争(人口減・高齢化)、異常気象など複合的リスクによる持続可能な農業・食料確保の危機、燃料・資材価格高騰と販売価格・所得の停滞
✔ 対応:人材確保のためのスタートアップ支援やネクストステップ支援(半農半Xなど)、SDGs達成に向けた取組(セミナーなど)、消費者に農の価値を発信(オープンファーム、生産者と消費者連携による農産物の契約推進(CSA)など)
→一人一人の生活の中で農林水産業の価値を知り、生産者と消費者が一体となって持続可能な農林水産業の展開へ(地産地消、SDGs達成につながる商品の購入)宮﨑 咲弥(株式会社 坂の途中)「100年先もつづく、農業を」
✔ 株式会社坂の途中;持続可能な農業と暮らし、今日はコーヒーの話を例に
✔ 海ノ向こうコーヒー:33ヶ国のコーヒー、生豆・焙煎豆の販売、海外との取引
←生産・流通・消費で様々な国・人々と関与:ラオスの焼畑農業など様々な課題
✔ 取組:森林保全をしながら栽培(アグロフォレストリー)、品質・経済性の改善
←栽培・加工方法や環境に関する教育などCo-Producerとして一体となって活動
✔ COFFEE-JAPAN PROJECT:環境保全、労働者の栄養・収入改善なども含めて長期的に持続可能なコーヒー生産に向けたプロジェクトをラオスなど海外で展開
→地元の文化を尊重しつつ産地のニーズ・課題にあった課題に生産者と消費者の枠組みをと越えて取り組む大沢 映介(Re.colab KOBE代表)「Re.colab KOBE~未来への挑戦、学生がつくる変革~」
✔ Re.colab KOBE:関西の大学生約70名が運営する学生団体、「わくわく」の探求
→若者に農業や環境問題を通じて続可能な未来に向けた問題意識をもってもらう
✔ 天然・養殖農業体験やリノベーションなどの活動→2024年度以降は里山の再生・農業により注力する方針に
✔ 問題提起:自分事として農業・環境問題を捉えることが必要、Re.colabの活動を通じた問題意識の芽生え→以下に持続可能な活動とすることが出来るか
←興味関心をベースに里山というフィールドで活動できるRe.colabの強み:小さな力かもしれないが、夢中に取り組むことで未来を変えるきっかけになればディスカッション
✔ CSAの取組はすごくいいものだと感じたたが、現状2件に留まっている理由は?
→アメリカでは盛んだが、日本ではそれ以外のインフラも充実しており、兵庫では緩やかな枠組みで進めており、有機農法を始めた農家さんなどをきっかけに今後拡大していければ
✔ 坂の途中やEcolabの持続可能性を考えた時に収益構造などをどう確保する加賀が課題だと思うがどうか?
→坂の途中は日本国内だけでも3000件を越える取引相手がいるので現状十分に収益が出ている。ただ、単純なビジネスでは無く現地に赴き生産者や現地の人々との間に一緒に取り組むモデルで頑張っている
→Re.colabは土地を借りる形で進めており、企業などへ活動の魅力をアピールしながら協賛してもらうなどは今後の課題。3年間活動を続けて現状こども食堂への生産物の提供を行えるところまできたが、今後はイベントなどを通じた収益の確保などについて考えて行きたい
✔ 例えば農家間の収益などの違いもあるが、マッチング(お見合い)や勉強会などを通じて相互に助け合う・情報共有していくことが重要。また生産者だけでと分からない情報や知見について(例えばマーケティングや環境保全の重要性など)についてしっかり伝えていくことが重要だと感じている。