- グローバルナレッジパートナーとの共創による社会課題解決へ
2019年3月27・28日にかけてイギリス・ロンドンのUniversity College London(UCL)で開催された国際シンポジウム「Osaka University – UCL Strategic Partnership Kick-Off Event」に参加してきました。大阪大学とUCLが「グローバルナレッジパートナー」として全学的に戦略的パートナーシップ関係を構築したことを受けて開催されたキックオフイベントで、SSIからも堂目センター長、木多企画調整室長ら5名が参加しました。
初日の午前中に開催されたイントロダクション・セッションでは、両校の理事から各校の研究戦略である「『いのち』にむきあう研究のために―社会的課題に取り組む大阪大学」、「UCL Grand Challenges」が紹介され、「深刻化・複雑化する社会課題の解決」にむけた連携の強化というグローバルナレッジパートナーの目的が共有されました。このグローバルナレッジパートナーの目的は持続可能な共生社会を目指すSSIの活動とも親和性が非常に高く、堂目センター長によるSSIの紹介のプレゼンテーションにも、参加者から高い関心が寄せられていました。
- 「いのち」を核とするSustainable Urban Designのあり方とは
午後からは、「Global Health and Wellbeing」、「Sustainable Urban Design/ University and Society」、「Education」の三つのテーマでWorkshopが開催されました。SSIのメンバーは「Sustainable Urban Design」(堂目センター長・木多企画調整室長ほか)、「Education」(松繁基幹プロジェクトリーダー)に参加し、UCLの関係者と半日にわたって濃密な議論を行ないました。以下では、報告者が参加した「Sustainable Urban Design」について簡単に紹介します。
「Sustainable Urban Design」では、最初に堂目センター長から「life-centered urban design: reiterated the link between space and life」というワークショップにおける議論のコアコンセプトが提示されました。その上で、両校の代表者から身体障害者や認知症患者が快適に過ごせる都市環境作り、自動運転など最先端の技術を活用した超高齢化社会への対応などのテーマで報告が行なわれました。どの報告も非常に刺激的で、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。
個別報告後には、将来の共同研究プロジェクトへの発展についても議論が行なわれましたが、その際にも堂目センター長が示したコンセプトが道標として機能していました。報告者のバックグラウンドは、都市・交通工学、認知症研究、建築学、科学コミュニケーションなど多岐にわたっていましたが、コアコンセプトに沿って多様な分野の研究者が共通の目的に向かって共創のあり方を議論する様子は、普段のSSIサロンと非常に似ており、セッションを通してSSIの理念・活動が国際的に展開したといえるのではないでしょうか。
- 世界規模での社会課題の解決へ向けて
各セッションにおける議論のまとめと今後の展開については2日目の全体セッションで共有されました。どのセッションも多様な分野の研究者が参画していましたが、社会課題の解決という目的、そして「いのち」、「Grand Challenges」という理念のフレームワークが共有されることで、全体としてまとまりのある、非常に有意義の議論が展開されたように思います。
世界規模で深刻化・複雑化する社会課題を解決するためには、国際的な連携、しかも多様な問題関心・専門分野を背景とする人材の参画が不可欠になっています。大阪大学とUCLのグローバルナレッジパートナー関係はそうした多様な人材の参画・共創を実現するための試みです。今回のシンポジウムによって、SSI、そして大阪大学が掲げる「いのち」を核に据えた理念を、国内のみならず、国際的に展開していくことの重要性が改めて浮き彫りになったと思います。(報告者:藤井翔太/SSI企画調整室)