日本や東アジアの地方地域では、農業・林業・ものづくり産業の衰退、高齢化、人口減少といった課題が深刻化している。一方で、地域には長年培われた技術・経験、豊かで多様な資源、生きる知恵があり、それらを活かした新たな地域活性化の可能性が広がっている。本プロジェクトは、地域の持つ実践的な知見と大学の研究知を融合させ、農業・林業・ものづくり等を軸とした持続可能な地域・地域間づくりのモデルを構築することを目的とする。
本プロジェクトの特徴は、単なる地域振興ではなく、「地域の知」と「大学の知」を双方向で活用し、地方が自律的に発展する仕組みを作る点にある。具体的には、自然農法や有機農業、森林資源の活用、地域産業のイノベーションを促進し、資源循環型の持続可能な地域モデルを提案する。また、地域間で経験、ものやアイディアを交流させ、ネットワーク化することで地域づくりにとってより良い条件と環境を作る。さらに大学の教育・研究と地域社会を結びつけることで、学生が実践的に学び、地域の担い手を育成することも重要な柱となる。
このプロジェクトには、農業・林業・ものづくり、地域活性化に関わる団体や個人、地方創生や環境、ICT技術、経済学・経営学、人類学を専門とする研究者が参画し、それぞれの専門性を活かしながら相乗効果を生み出す。また、ICTを活用した地域ブランドの発信や、新たなニーズ開拓の支援を行うことで、地域の持続性の実現を後押しする。
さらに、本プロジェクトでは、大学の役割を「知識の提供」にとどめず、地域課題の解決に向けた共創の場を作り、発信することを目指す。フィールドワークや実践型の研究プロジェクトを通じて、地域住民・諸団体・行政と連携し、持続可能な地域社会の実現に向けた新たなアプローチを模索する。

図:研究体制―「学びと共創のコミュニティ」の形成プロセス(知の地方化)
研究協力者(学内)
松井博史(経済学研究科准教授)
濱田格雄(共創機構特任准教授)
松本文子(工学研究科特任准教授)
田和正裕(社会ソリューションイニシアティブ教授)
田尾俊輔(学際大学院機構(i-TGP)特任助教)
研究協力者(学外)
渕上ゆかり(同志社大学地域情報学部准教授)
黒田真史(常葉大学社会環境学部准教授)
平田昌弘(帯広畜産大学畜産学研究科教授)
矢倉誠人(大阪工業大学特任講師)
堀啓子(滋賀県立大学環境科学部講師)
中野裕介(京都大学大学院公共政策大学院大学院生)
共同研究機関(自治体等を含む)・連携機関
一般社団法人北の風・南の雲(兵庫県宍粟市)
一般社団法人AZE(兵庫県丹波篠山市)
自然農法「無の会」(福島県会津美里町)
大阪府森林組合(大阪府高槻市)
UmiNe合同会社(兵庫県宝塚市)
神納川受け入れ協議会(奈良県吉野郡十津川村)
プアール学院大学(中国・雲南省プアール市)
雲南大学(中国・雲南省昆明市)
モンゴル国アカデミー生物学研究所(モンゴル国ウランバートル市)
- 研究キーワード
- 持続可能な地域、農林業の循環モデル、知の共創、地域人材の育成
- 社会課題
- 持続可能な地域のモデルの構築、人口減少・少子化、農林業の活性化、分断の再生(都市農村、産業)
