活動レポート

【開催報告】いのち宣言フェスティバルが開催されました!

2025/11/21
 

概要

「いのち宣言フェスティバル」は「いのち」を中核テーマに、2030年のSDGs達成および2030年以後の社会に向けた行動指針を示すべく、「いのち輝く未来社会のために人類がなすべきことを、人類全体に向けて宣言する」場となりました。

 

またプログラムは合唱・プレゼンテーション・宣言・トーク・音楽・ダンスが連なる構成となっており、来場者にとって多面的に「いのち」を知り、感じ、守り、はぐくみ、つないでいく契機となりました。

オープニング・合唱

出演:東京子どもアンサンブル

概要

障害の有無にかかわりなく歌の好きな子どもたちが集まった、無料で参加できるコーラスグループで、共生社会と美しいハーモニーを求め、2017年にエル・システマジャパンと東京芸術劇場の共同主催事業として始まったことが紹介されました。視覚障害のある子どもたちや、そうした子どもたちと接点がなかった子たちが支え合い、切磋琢磨をしながら楽しく活動しており、共にハーモニーを作り上げる経験を通じ、子どもたち一人ひとりに、多様な社会で生きる力が育まれていくことが、「いのち」の価値を体現するものとして位置づけられています。

演奏曲目(案内より)
・「世界も歌を歌ってる」(阪田寛夫作詞・⼭本直純作曲)
・童声合唱組曲「あめつちのうた」より「1. 空のうた」(林望作詩・上田真樹作曲)
・「いのちの歌」(Miyabi作詞・村松崇継作曲・横⼭潤⼦編曲)
・「いま⽣きる⼦どもマーチ」(こわせ・たまみ作詞・湯⼭昭作曲・古橋富⼠雄編曲)
・「⾃由への賛歌」(ハリエット・ハミルトン作詞・ オスカー・ピーターソン作曲・マイク・ダウンズ、クリス・ラローサ編曲・小曽根真ほか2名訳詞)

 

 

小中高・大学生によるプレゼンテーション

司会進行は若者(大学生)に委ねられ、若手世代主体の運営がなされました。内容は多様であり、共通して ①身近な経験から社会課題を捉える、②自分の言葉で語る、③行動へつなぐ の三段を踏んでいる点が印象的でした。以下、発表の要点です。

① 小学生の発表(豊中市)

    • テーマ:外国にルーツをもつクラスメイトへの差別的言動を目撃した経験から、「違い」を排除する癖と向き合う覚悟を語る。

    • ポイント:
        • 衝突の背景(言葉の壁/伝わらない苛立ち)への想像力。

        • 「どこからが差別か分からない」という問いを引き受け、「答えがなくとも考え続ける」姿勢。

    • 意義:“考え続けること自体が責任ある市民性の土台”であると気づかせる内容でした。

② 中学生の発表(コスモポリタン・キャンパス)

    • テーマ:「より良い未来」「2030年のありたい姿」を題材に、パビリオン案やiPS細胞のアナログゲーム等でサイエンス・コミュニケーションに挑戦。

    • ポイント:時間効率学習の提案/チーム分業/ゲーム化による理解促進。

    • 意義:科学と社会の接点を、参加型・体験型の学びでひらく取り組みでした。

③ ガールスカウト大阪府連盟(中学生)

 

    • テーマ:海洋プラスチック問題への継続的アクション。

    • 活動:国際プログラムの翻訳・普及、排出量調査、テラサイクル連携(ジップロック・歯ブラシ回収)、SNS発信・講習会企画。

    • 意義:ローカルからグローバル課題を自分事化し、実測・回収・啓発を循環させる取り組みでした。

④ 西宮市立浜脇中学校(NIE活動)

 

    • テーマ:新聞を教材に批判的思考と発信力を養成し、防災・木材活用・万博見学を通じ地域と世界を結ぶ学び。

    • 意義:メディア・リテラシーを核に、地域資源と世界課題を接続する学校ベースのプログラムとして高い再現性が見込まれます。

⑤ 松原市立松原第三中学校(SDGs 10・16)

 

    • テーマ:多文化共生と人権。差別の実例と向き合い、「知ろうとする態度」から学校掲示やカラフルキッズ(地域の多文化交流)へ拡張。

    • 意義:校内外での可視化と接点づくりにより、日常的な差別の気づきを行動へ転換しています。

⑥ 大阪府立高校生万博チーム

 

    • テーマ:「いのちを感じる・守る・はぐくむ・つなぐ・知る」をキーワードに、合唱、ダンス、生物多様性、おにぎり文化、紛争と解決提案など、多領域の祭事を制作。

    • メッセージ:小さな取り組みの波紋が広がることへの希望と、日々を大切に生きるという等身大の宣言。

    • 意義:越境的な協働(学校の枠を超える)と、コンテンツ横断のプロジェクト学習が、社会参加の原体験として機能しています。

⑦ 大学生パネル(若者と考える社会課題と未来社会)

 

    • 登壇:千葉大学・岡山大学・甲南女子大学・大阪大学(SSI学生のつどい)・社会人(コラギアOG)ほか。

    • 論点(自己紹介・活動紹介を踏まえた総論):
        • 地方と都市の相互理解:ローカルの魅力とメガイベントの自分事化の間にある「心の距離」を埋める。

        • 声なき声の可視化:病気・不登校等により届きにくい声を、ポッドキャスト等で社会へ接続。

        • ESG・共感経済:企業評価や情報発信を通じ、共感にもとづく選択を社会に広げる。

        • 文化・色彩・世代越境:万博を契機とする世代横断の共創やカルチャー発信の意義。

    • 意義:「課題→表現→協働→社会実装」への射程が共通し、若者の自律性と連帯が両立していました。

「いのち宣言」の発表

発表:西尾 章治郎氏(「いのち会議」事業推進協議会議長/大阪大学前総長)

 

概要

「いのち宣言」は、本イベントの中核に位置づけられ、いのちを尊ぶ社会の実現に向けた指針を示すものとして発表されました。宣言文はいのちを知る、感じる、守る、はぐくむ、つなぐ、の5つの視点で構成され、いのち会議の活動趣旨に賛同してくださった135人の方から寄せられた103本アクションプランをもとに作成されています。
いのち会議は、「いのち宣言」(世界への約束)を実現するため、さらに活動を充実させていくことが示されました。

「いのち宣言」スペシャルトークセッション

登壇

    • 堂目 卓生氏(「いのち会議」事業実行委員会委員長/大阪大学特任教授)

    • 池上 清子氏((公財)プラン・インターナショナル・ジャパン 理事長/(公財)アジア人口・開発協会 常務理事)

    • 岩井 睦雄氏((一社)日本アスペン研究所 副理事長)

    • 佐久間 洋司氏(大阪パビリオン推進委員会 ディレクター/(一社)シェイプニューワールドイニシアティブ 代表理事)

    • 中島 さち子氏(音楽家・数学研究者・STEAM教育家/大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー)

    • Andrej Zwitter氏(グローニンゲン大学 教授)

 

概要

以下の論点が重層的に交差しトークセッションが展開されました。

    • 倫理・哲学的基盤:いのちの尊厳を社会制度に落とし込む際の規範設計と公共善。

    • ジェンダー/子ども・若者の権利:現場での実践と国際的潮流(教育・保護・エンパワメント)。

    • リベラルアーツとリーダーシップ:対話を通じた合意形成、創造的問題解決。

    • 地域・産業・万博のレガシー化:プロジェクトを通じた社会実装、持続可能な仕組み。

    • STEAMと創造性:音楽・数学・教育の横断がもたらす包摂のデザイン。

    • ガバナンスと危機:国際社会・人口動態・テクノロジーがもたらすリスクと機会。

テーマソング「いのち / INOCHI」歌唱

出演:(一社)Feel&Sense 橋本 昌彦 氏

 

概要

    • 詞・旋律を通じて、会場の一体感と「いのち」をめぐる共感の再共有が図られました。

e-Symphony beyond 2025

出演:a-tune

 

概要

    • 万博のその先を見据えるものとして、デジタル/リアルの統合的な音楽表現により、テクノロジーと人間の創造性の共鳴を示しました。

いのちBonBon(世界盆踊り)

出演:World Bon Bon Project featuring 浅草右近屋、FiVe、JICA BON BON Band and 酒井響希

 

概要

    • 盆踊りという日本の伝統様式を「世界」と接続する試みで、参加・輪・反復という踊りの構造が、いのちの循環・継承を示しています。身体を通じた共感・連帯の定着が図られ、来場者体験の“余韻”を形成しました。

総括

・大阪・関西万博テーマウィーク関連プログラムとして、博覧会協会石毛事務総長にも参加いただき、大阪・関西万博のソフトレガシーの一つともいえる「いのち宣言」の発出を行うことができた。
また、万博閉幕日に開催された「大阪・関西万博宣言フォーラム」(十倉博覧会協会会長、伊藤万博担当大臣、吉村大阪府知事、ケルケンツェスBIE事務局長、ナセル国連事務次長補などが出席)に西尾議長がパネリストとして登壇し、多様な主体が「いのち」について熟議を重ね、具体的行動に基づく「いのち宣言」を発出したことについて紹介できたことも、本イベントの一つの成果といえる。

・約7時間半のプログラムであったが、「いのち会議」の趣旨に賛同し「いのち宣言」の作成に貢献した多くの関係者や一般来場者が多く来場し、入れ替わりも含めて、約370名の会場がほぼ満席の状態が続いた。また、NHKニュースでも報道されるなど、多くの人々に「いのち宣言」の発出を認知いただいた。

・また、プログラム構成としても、障がいのある子どもたちも参加する合唱や、小中高生・大学生のプレゼンテーション、学生団体による世界とオンライン同時接続での音楽演奏、世代・国籍を超えて会場一体となった「盆踊り」など、多様性を象徴するプログラムを実現することができ、参加者がともに「いのち」についての思いを共有する場とすることができた。特に、こどもや若者が⾃分の⾔葉で経験を語り、具体⾏動を試みている点は、本フェスティバルが世代を超えた社会参加のはじまり につながったと言える。

・この成功は、「いのち会議」がこの宣言発出を新たな出発点としてさらにネットワークを世界規模に広げ、2030年のSDGsやその次のゴール設定に向けて、活動を強化していく契機となるものである。