マンスリー・トピックス

家庭、学校、職場、地域などで「いない」ことにされているL G B T Q +などの 性的マイノリティやその周辺の人たちが、安心して息のできる場所を増やそう

認定特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ
村木真紀

2025年12月

 LGBTQ+ などの性的マイノリティは、自死や自傷のリスクの高い層だと言われており、日本では、一般より2倍から3倍、メンタルヘルスに問題を抱える割合が高いという調査結果があります※1。特に東アジアでは、家父長制の影響もあり、結婚や出産への社会的圧力が高く、周囲の人にカミングアウトしている人は少ない状況です。LGBTQ+ は、家庭でも学校でも職場でも地域でも、社会的に見えない存在として疎外されています。同性婚(婚姻平等)や包括的な差別禁止法などの法整備も遅れており、制度面でも排除されています。社会の中で、LGBTQ+が安心して息をつける安全な場所は、残念ながら、日本ではほとんどありません。

 認定NPO 法人虹色ダイバーシティは、2014年から、学術研究者と協力してLGBTQ+に関する調査研究を行っています。国の統計でもLGBTQ+が「いない」ことになっているため、日本ではデータもないのです。「親には言えない」「学校でいじめを受けている」「職場では隠している」「地域で孤立している」、調査にはそんな悲痛な声が寄せられています。社会で「いない」ことにされ続けた結果、LGBTQ+ の学歴、年収、心身の健康レベルが低くなっていることが見えてきました※2。
 こうした状況を変えるため、認定NPO 法人虹色ダイバーシティは、2022年に「プライドセンター大阪」を開設しました。センターにはLGBTQ+ に関する書籍が750冊以上あり、交流イベントやカウンセリングを提供しています。これが西日本初の常設LGBTQ+ センターであり、今までに4,300人以上が、全国から訪れています。「ここだけが、安心して息のできる場所です」と言ってくれる来館者もいます。LGBTQ+の人びとが、自分らしく、安心できる居場所をどれだけ必要としているのかが感じられる場所です。
 センターでは、LGBTQ+ であることが犯罪として扱われる国の人からの相談もあります。世界情勢の不安定化によって、社会的マイノリティであるLGBTQ+ の人たちが迫害のターゲットになり、難民化しています。
 2050年には、世界のLGBTQ+ の人たちが、自分らしくいることができ、安心できる安全な場所を、必ず見つけられるようにならなければなりません。そのためには、各国でLGBTQ+ に関する法整備を進めることが必要です。LGBTQ+を犯罪として扱うことをなくしていくこと、LGBTQ+ への差別を禁止していくこと、そして、SDGsのような国際社会の約束にLGBTQ+ の声を反映していくこと。SDGs にLGBTQ+ に関する記述がないこと自体が課題です。
 日本では、法整備と並行して、「プライドセンター大阪」のような場所を、全国に広げていくことが必要です。センターは、LGBTQ+やその周囲の人たちの孤立を防ぎ、社会とのつながりを育む、地域のインフラとして必須です。市民社会、行政、企業、教育機関、医療機関などが、連携してセンターを運営できる体制を整えていかなくてはなりません。

 いのち会議は、さまざまな支援団体とともに、すべての参加者が、「LGBTQ+は社会の中に確かに存在している」という前提を共有し、あらゆる施策にLGBTQ+ の声を反映することを呼びかけます。「いない」ことにされている人たち、社会的に声を出しにくい人たちの声にこそ、より良い未来の実現への鍵があるからです。

プライドセンター大阪のスタッフ、館内の様子


※1 2023「家族と性と多様性にかんする全国アンケート」釜野さおり等研究グループ
https://www.hosei.ac.jp/press/info/article-20231027123950/
※2 2024 「nijiVOICE2024」報告書
https://nijibridge.jp/report/