協力プロジェクト(過去)

アフリカの非正規市街地をフィールドとした持続型都市社会モデルの構築
Creating a model for sustainable urban society based on the field study of informal settlements in Africa

【 研究代表者 】木多道宏 工学研究科教授

 非正規市街地・スラムの改善は、1960年代より世界的な課題となりましたが、アフリカ、中東、南・東南アジア、中南米の開発途上国は今もなお深刻な問題を抱え続けています。構造物の除却・再開発といった従来の手法では解決の糸口を見出せず、むしろ自律的に街や地域を運営するための社会・経済システムのデザインと再構築が必要であるとの考えに至り、栗本英世教授をはじめとする文化人類学の研究者、そして、地理学、国際公共政策、言語学、都市計画、環境エネルギーを専門とするメンバーからなる横断型のプロジェクトチームを編成しました。
 ガーナ・アクラを共同の研究・実装フィールドとしつつ、メンバーの複数のフィールドの活動も並行することにより、相互に比較検証しながら共通の課題解決策を見出すことが、本プロジェクトの目的です。
 アクラには、82か所の非正規市街地があり、アクラ市人口の約60%が居住しています。政府による抜本的な対策はなく、貧困、火災、水害、コレラの蔓延など、深刻な問題を抱える地区も多く見られます。従前の現地踏査の結果、良好な自律的運営がされているLa(ラ)地域を発見し、社会・空間構造や住環境運営の仕組みの解読を進めつつあります。今後は、地区の人々とともに課題を解決しながら持続型都市社会モデルへと進化させ、他の劣悪な非正規市街地・スラムへの応用が可能な制度を検討していく予定です。

アクラにおける非正規市街地と活動地区
濃いグレーが非正規市街地を指す。La地域は大阪大学が初めて調査に入ることを認められました。
行政機関は手をつけられないため、大阪大学の活動に期待がされています。

研究キーワード
都市人類学、非正規市街地の持続的改善、近代的都市計画のイノベーション
社会課題
非正規市街地における貧困の解消、衛生環境・教育環境の改善、アフリカにおける都市文化の継承と発展、スマート技術を用いた自律型コミュニティ運営の仕組みの構築